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2018年10月23日 (火)

【病院経営】 医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈 最高裁平成28年4月8日判決 No4

3  営利性と出資持分

(1) 営利性

 平成18年改正については、医療法人の非営利性の徹底という観点から説明されるように、医療法人は、営利法人ではないと説明されてきた。

 社団における営利目的とは、現在、一般に事業活動における成果を構成員に分配することと解されている。

 平成10年代後半にされた立法についてみると、平成17年成立の会社法は、株式会社において、剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利のいずれも株主に与えない旨の定款の定めは無効であると規定し、残余財産の分配のみの場合も含めて法人の経済的成果にあずかることを営利性ととらえる立場を採用した。

 平成18年に成立した一般社団法人及び一般財団法人に関する法律は、一般社団法人においては、剰余金分配請求権、残余財産分配請求権を社員に付与する定款の定めを無効とし、社員総会によっても社員に剰余金を分配するとの決議をすることができないとした。

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(2) 医療法人と営利性

 医療法は、営利を目的として病院等を開設しようとする者には開設の許可を与えないことができる旨を規定するほか、54条において、医療法人は剰余金の配当をしてはならないと規定する。医療法人は収益が生じた場合、施設の整備・改善、法人の職員に対する給与の改善等に充てるほか、すべて積立金として保留すべきこととなると説明される。

 医療法制定の際の国会審議において、剰余金の分配の禁止の規定について、政府委員は、剰余金の積み立て後にこれを分配することも問題であること、他方、法人に拠出した資金が返還されることは問題がないなどと述べるなどしていた。

 医療法54条は、医療法人が営利法人でないことの根拠として挙げられ、「(医療法人)・・・その営利性については剰余金の配当を禁止することにより、営利法人たることを否定されており、この点で商法上の会社と区別される」などと説明されていた。

 もっとも、平成18年改正前の医療法には、残余財産の分配に関する制限を特段規定していなかった。また、平成18年改正後も、持分の定めのある医療法人の存続が許されている。

 平成18年改正は非営利性の強化を意味するが、上記のとおり、持分の定めのある医療法人の存続が許されていることから、持分の定めのある医療法人の非営利性が、持分の定めのない社団医療法人、財団法人に比較して貫徹されていない点に変わりはないと指摘される。

(3) 医療法人における持分

 医療法人において、「持分」の定めがあるとの文言も使用される。

 もっとも、社団は、一定の目的をもった人(社員)の集まりであるが、社団医療法人は、その事業活動からの成果を目的として社員が集まったものではないし、出資と総会における議決権数との間に必然的な関係はない。

 持分の定めのある社団法人のモデル定款は、社員総会の承認を得て社員となることを規定するが、それ以外に社員の資格を限定せず、出資をしない者も「社員」となれる。また、社員総会における社員の議決権は、持分の定めのある社団についても、通常、一人1票とされていたようであり、平成18年改正により、医療法48条の4においても、このことが規定された。

 上記のような社団医療法人における社員の性質等を考慮すると、持分の定めのある医療法人について、その「持分」は、例えば、民法上の組合において、各組合員が組合財産に対して有する「持分」とは異なるといえる。

 平成18年改正前に、社団医療法人の定款において、出資者に対して財産を返還するとの規定を設けて、社団法人について「持分の定め」があるとされるとしても、本件で問題となる出資に係る返還請求権は、定款の定めによって認められるものであって、その返還額を出資額その他の一定の額に限定することも可能であるし、出資者の返還請求権の総額が、医療法人の財産総額である必然性はない。上記請求権は、定款の定めに基づいて発生し、その内容様が定める債権的な請求権であると考えることができると思われる。

 (続く)

 

 

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