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2018年4月 5日 (木)

【循環器科】 心房細動とカテーテルアブレーション

 判例時報No2349号で紹介された名古屋高裁平成29年7月7日判決です。

 事案は、Xが、平成22年8月3日、Yの開設する本件病院において、持続性心房細動の治療を目的として、カテーテルアブレーションを受けたところ、直後に脳梗塞を発症し、高次脳機能障害等の後遺障害が残ったため、担当医師が、(1)カテーテルアブレーションの禁忌である左心耳内出血の所見又はそれを疑うべき所見を見落とした、(2)本件施術前に十分な抗凝固療法を実施すべき義務に違反した、(3)カテーテルアブレーションに関する十分な説明をしなかったと主張し、Yに対して診療契約上の債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償請求をした事例です。

 第1審は原告の請求棄却したのに対して、第2審は逆転判決となっています。

 なお、「カテーテルアブレーション」は、経静脈的ないし経動脈的に電極カテーテルを通じて対外から焼灼エネルギーを不静脈源である心筋組織に加え、これを焼灼ないし破壊する治療方法です。

 高裁は、

 ①左房ないし左心耳内に血栓が存在する場合のみならず、その存在が疑われる場合であっても、カテーテルアブレーションを実施することは禁忌とされている、

 ②7月22日に撮影されたCT画像にはXの左心耳内に10数ミリの球状の陰影欠損が存在することが認められるし、提出された医師の意見書によれば血栓の存在が強く疑われるとされている、

 ③本件で実施されたTEEの検査画像から血栓があることが疑われる陰影が存在した

 などと認定した上、

 ④以上によれば、TEEの画像から認められるグローバー状の陰影及びいぼ様の陰影は、血栓を疑わせる所見であったと認められるから、担当医師には、本件施術を実施するにあたり、血栓を疑わせる所見がないことを確認する注意義務を尽くさなかった過失が認められると判断して、Yの損害賠償責任を肯定しました。

 解説では、「医療過誤訴訟において、レントゲン写真のフィルムの読影について過失が問題とされることが多いところ、本件もその一類型である」と記載されています。

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