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歯科

2018年12月 9日 (日)

【脳神経外科】 脳腫瘍部分切除術を受けた後に死亡した事案

 判例時報No2383号で紹介された東京地裁平成29年10月26日判決です。

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 第1の争点は、亡Aが悪性高熱症を発症していたかという点です。

 裁判所は、現在の医学的知見では、術後悪性高熱症自体が稀である上、術後1時間以上経過して体温が上昇した患者が悪性高熱症を発症している可能性はさらに低いものとなるところ、亡Aの高体温が確認されたのが麻酔終了後約8時間を経過した後であることなどを根拠に、悪性高熱症を発症していたとまではいえないと判断されました。

 第2の争点は、悪性高熱症の疑いのあった12月7日午前0時又は8日午前0時までにダントロレンを投与しなかったことに過失があるかという点です。

 当該時点んにおける亡Aの症状は、悪性高熱症の疑いの程度は高いものではなかったとして、Yの責任を否定しました。

 第3の争点は、本件病院の医師が亡Aの適切な治療を受ける期待権を侵害したか否かという点です。

 本判決は、期待権の侵害が成り立ちうる前提として、当該医療行為が著しく不適切なものである必要があるところ、本件医療行為が著しく不適切であるとは認められないので、Xらの主張は理由がないとしました。

 適切な医療行為を受ける期待権の侵害も問題となっていますが、最高裁平成23年2月25日判決が、医療行為が著しく不適切なものである事案について検討しうるにとどまると判示しているところ、本判決もこの立場を踏襲しております。

2018年12月 7日 (金)

【日本損害保険協会】 歯科医療の基礎知識

 先月、千里ライフサイエンスセンターで開催された日本損害保険協会主催の「歯科医療の基礎知識」を受講しました。

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 講師は、東京医科歯科大学歯学部付属病院回復系診療科インプラント外来の立川敬子先生でした。

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 歯科の分野については日頃から興味を抱いていることもあり、関心をもって聴講いたしました。

 まず、Ⅰ口腔のしくみと働き では、口腔組織の名称、方向・部位を現す用語、口腔組織の縦断面、頭蓋の骨、顎顔面骨の重要な内部構造、顎顔面領域の重要な欠陥(下顎、上顎)、顎顔面領域の重要な知覚神経、顎骨と歯、永久歯の歯列、乳歯と永久歯、歯の生え変わりを学びました。

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 次は、Ⅱ歯科領域の疾患 では、齲蝕・歯髄疾患(齲蝕の進行度による分類、齲蝕の進行)、歯周組織疾患(歯周疾患の臨床的分類、歯周疾患の進行、歯の欠損、歯の欠損形態による分類)、口腔外科疾患を学びました。

 第3の、Ⅲ歯科における基本的診察法 では、歯科に特有な検査(画像検査、咬合検査、歯髄検査、歯周組織検査)です。

 第4の、Ⅳ歯科疾患の治療法 では、歯科で用いる基本器具セット、切削器具、齲蝕・硬組織疾患の治療法、歯髄・根尖性歯周組織疾患の治療法(根管治療)、歯周疾患の治療法、保存不可能な歯に対する治療法、歯の欠損に対する治療法(ブリッジによる治療、可撤性義歯による治療、歯科インプラントによる治療)、歯科インプラント治療の流れ、インプラント埋入のための骨形成、歯科インプラント補綴術式、定期的メンテナンスです。

 第5の、ⅴ顎顔面領域の損傷では、保険の外傷(脱臼性外傷、破折性外傷)、骨折(歯槽骨骨折、下顎骨骨折、上顎骨骨折、頬骨骨折)、 骨折の治療法(顎間固定、観血的整復術)、軟組織の損傷、機械的損傷のほか、以下は、症例の説明でした。

 第6は、Ⅵ小児の顎顔面外傷では、乳歯及び根未完成歯の外傷の影響、乳歯列期の骨折の特徴と予後についての説明があり、第7は、Ⅶ口腔インプラント治療におけるトラブルとその対応についての説明でした。

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 基礎的な解説ですが、知っているとそうではないのでは、理解力が違うので貴重な体験をさせていただきました。

2018年11月29日 (木)

【循環器科】 甲状腺クリーゼの患者を診察した医師の債務不履行責任が否定された事例 神戸地裁平成29年10月26日判決

 判例時報No2381号で紹介された神戸地裁平成29年10月26日判決です。

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 甲状腺クリーゼとは、甲状腺中毒症の原因となる未治療ないしコントロール不良の甲状腺基礎疾患が存在し、これに何らかの強いストレスが加わったときに、甲状腺ホルモン作業過剰に対する生体の代謝機構の破綻により複数臓器が機能不全に直面した緊急治療を要する病態をいいます。

 本件の最大の争点は、Yは、亡Aを診察したときに、甲状腺クリーゼないしこれに準じる重篤な病状と診断することができたのか否かという点です。

 判決文では、甲状腺クリーゼを診断する指標として、

 (ア)必須項目として、甲状腺中毒症の存在

 (イ)症状項目として、

 ① 中枢神経症状

 ② 発熱(38度以上)

 ③ 頻脈(130回/秒以上)

 ④ 心不全症状

 ⑤ 消化器症状

 があげられており、

 (ウ)確実例として、必須項目及び、

 a 中枢神経症状+ほかの症状項目1つ

 又は、

 b 中枢神経症状以外の症状項目3つ以上を満たす場合、

 (エ)疑い例として、

 a 必須項目+中枢神経症状以外の症状項目2つ、

 又は、

 b 必須項目を確認できないが、甲状腺疾患の既往・眼球突出・甲状腺腫の存在があって、確実例条件のa又はbを満たす場合、が挙げられている

 本件において、Xらは、亡Aの症状は、甲状腺クリーゼ疑い例bに該当すると主張しました。

 裁判所は、甲状腺クリーゼの疑いbに該当するか否かは、心不全症状が認められるかどうかで判断されるところ、その症状からは心不全症状は認められないとして、Xらの主張を斥けました。

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 甲状腺クリーゼは、放置すれば予後不良の急性の全身しっあんであり、迅速な診断と治療によっても、致死率は20%以上に達すると言われている危険な病気のようです。。。。

2018年11月28日 (水)

【カルテ・薬】 プログラフの過剰投与と脳梗塞!?

 判例時報No2379号で紹介された大阪高裁平成29年2月9日判決です。

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 骨髄移植手術を受けた患者が脳梗塞を発症して死亡した場合に、免疫抑制剤(プログラフ)を過剰投与した看護師に過失は認められるが、右過失と脳梗塞との発症との間に因果関係はないとして、病院側の責任が否定されました。

 鑑定によれば、過剰投与による脳梗塞の発症の可能性は否定できないと判断されていました。

 それにもかかわらず、裁判所は、プログラムの量は、副作用としての脳梗塞を発症するだけの条件が十分であったとまでは認めることはできないこと、プログラムの投与が原因とされる脳梗塞の発症例が多いということはできないことから、過剰投与と脳梗塞との相当因果関係を否定しました。

 う~ん。どうなんでしょう。。。。

2018年11月25日 (日)

【内科】 担当医師の専門外の疾患について、患者に対する診療契約上の専門医紹介義務及び同義務違反が認められた事例

 判例タイムズNo1453号で紹介された京都地裁平成28年2月17日判決です。

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 専門医の紹介義務については、以下のとおり解説されています。

 「医師は、診療当時の臨床医学の実践における医療水準に従って診療行為を行う注意義務を負うとされているが、医師は各々専門分野を有しているため、専門外の疾患が判明した場合には、的確な判断、処置が困難となる場合があり、その際には、適切な診療が受けられる医療機関への転医や転院先の紹介の問題が生じ、このような義務を医療機関に課すべきかについては、診療契約上の義務や不法行為上の注意義務として論じられることがある」

 「本件は、受診した医療機関にとっては、専門外の疾患であること、診療時の医師と患者の診療内容(甲状腺専門医であるためにB型慢性肝炎の治療を積極的にはできないが、肝機能の悪化が認められれば、肝臓専門医を紹介する旨のやりとりをしていたこと)などを考慮し、診療契約上の義務として、専門医への紹介義務を肯定し、血液検査の結果、B型慢性肝炎肝硬変への進行が疑われる数値が現れた時点で、担当医師自身もカルテに「肝機能↑」と記載していることや、担当医師が認定医の資格からB型慢性肝炎の進行可能性を予見することが可能であったなどとして、原告を肝臓の専門医療機関に紹介すべき義務違反を認めた」

 

2018年11月 3日 (土)

【歯科】 下顎智歯の抜歯に際し、歯科医師に、抜歯以外の治療方法の選択肢及び舌の知覚・味覚障害の後遺症が残るリスクがあることに関する説明義務違反が認められた事例 

 判例タイムズNo1452号で紹介された東京地裁平成29年3月23日判決です。

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 医師や歯科医師には、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明すべき義務があること(最高裁平成13年11月27日判決)、

 本判決は、原告の左側舌顎智歯の抜歯にあたって、抜歯以外に選択可能な治療方法として、鎮痛剤・消炎剤等の投薬による智歯の保存という方法があること、

 また、抜歯に付随する危険性として、舌の知覚・味覚障害の後遺症が残るリスクがあることについて、被告に説明義務違反があったと認めました。

 手術に付随する危険性や合併症については、発生可能性のあるあらゆるものについて説明すべき義務があるものではなく、一般的な医学文献への記載の有無、発生頻度、結果の重大性等に照らし、当該手術で生じ得る代表的なものや重大なものについて説明すべき義務があると解するのが一般的な理解であると思われ、本判決もこのような前提に立つて検討がなされています。

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2018年10月26日 (金)

【医療セミナー】  画像鑑定の基礎 MRIについて

 東京日比谷で開催された「画像鑑定の基礎 MRIについて」を受講いたしました。

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 最近、交通事故事案や医療過誤事案等医療に絡む相談や依頼を受けることが増えております。

 特に、交通事故事案においては、弁護士費用特約の普及に伴い、画像鑑定費用も支払っていただける損保会社が少なくないので、鑑定会社から、医学意見書をいただくことも増えております。

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 特に、むち打ち症例、手足の機能障害等についての相談がケースとしては多いのですが、画像がレントゲン程度しかないことが多くて、等級認定に支障が生じることも目につくようになっております。

 現在、鑑定会社は1社を中心にお願いすることがほとんどですが、それぞれに個性があると思い、今回、思い切って、医療セミナーに参加することになりました。

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 医療画像の種類としては、①X線を使用する画像(XP、TV撮影、血管造影、CT)、②X線を使用しない画像(US、MRI)、③γ線を使用する画像(RI)があり、それぞれについての概要説明がありました。

 XPは、椎間板ヘルニア、腱板損傷、TFCC損傷は診断できない

 当然、脳の損傷もわからない

 ということは、最低限押さえておくべきことです。

 CTについては、撮影時間が短い、脳血流に対する感度がよい、骨の異常がわかる、身体に金属やペースメーカーあ入っていても撮影できる、急性期脳梗塞に対する感度は低い等の特色があるようです。

 MRIについては、歴史から説明がありましたが、医学鑑定に多い6大部位としては、頭部(矢状断)、頚椎(矢状断)、腰椎(矢状断)、膝関節(矢状断)、肩関節(冠状断)、手関節(冠状断)についての説明がありました。

 RIについては、各種シンチ検査があげられます。脳槽脊髄腔シンチが有名ですね。

 RIは、半減期の短い放射線同位元素を、目的部位にあわせて作られた化合物に標識して静脈注射(吸入)し、体内での分布や臓器の機能を調べる検査ですが、形態画像ではなく機能画像ということに注意をする必要があります。

 MRIについては、磁場を用いて核磁気共鳴現象を起こす、身体に電波を送り、身体から出る信号を受信する、画像化の対象は水素原子という機器です。

 特徴としては、撮影時間が長い、カラに金属やペースメーカが入っていると撮影しない、放射線被ばくしない、脳や骨盤や骨など動かない臓器に強い、病気の発症時期や状態がわかる、いろいろな撮影方法があり、画像鑑定では必要不可欠なものです。

 MRIでわかることはたくさんですが、例をあげると、

① 神経や靭帯

   圧迫されている、途切れている、炎症を起こしている

② 最近の障害か古い障害か(活動性の炎症)

   T2強調画像で白く写る 脂肪抑制画像

③ 骨挫傷や不顕性骨折

   T2強調画像で白く写る 脂肪抑制画像

  これらには、高磁場1.5テスラ以上のMRIが必要。脂肪抑制画像が撮影できるかどうか。

  ※T1強調画像は解剖的な構造がわかり、T2強調画像は病変がわかりやすいとされています。

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 画像鑑定には、MRIが必要。

 MRIは、骨の中の組織の状態がわかる、筋肉や靭帯等の軟組織の状態がわかる、炎症の程度や時期がわかる という特徴があり、事故が原因で生じた病変であることが表現されるのです。

 今回のセミナーを受講して、大変勉強になりました。







2018年10月25日 (木)

【病院経営】 持分の定めのない医療法人への移行認定制度

 持分あり医療法人の場合、出資者の死亡に伴う相続税負担により医業継続への支障が生じてきていたようです。相続税の支払いのために病院に持分の払戻し請求が行われるからです。

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 そうすると、持分のある医療法人から、持分のない医療法人に移行すればいいわけですが、そう単純にはいかないみたいです💦

 例えば、一人の出資者が持分を放棄した場合、残存出資者に贈与税課税のリスクが発生しますし、また、全ての出資者が持分を放棄した場合には、医療法人に贈与があったとみなされ、一定の要件を満たさなければ医療法人が贈与税を支払うことになるからです。

 そこで、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行計画を国が認定する制度を設け、相続税猶予等の税制措置を実施されています。

 移行計画認定制度は、期間制限があるようなので、早く手を打たないと大変なことになりそうです。

 

2018年10月24日 (水)

【病院経営】 医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈 最高裁平成28年4月8日判決 No5

  以上は、平成22年4月8日付最高裁判決の最高裁調査官の解説を引用したものです。

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 判決要旨を紹介します。

 医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合において、 同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定は、

 出資した社員は、退社時に、当該法人に対し、同時点における当該法人の財産の評価額に、同時点における総出資額中の当該社員の出資額が占める割合を乗じて算定される額の返還を請求することができることを規定したものと解するべきである。

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 最高裁は、出資割合説を採用されたのですが、原審は出資額説を採用していました。

 どちらをとるかで、金額が大きく異なることから争われたわけです。

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2018年10月23日 (火)

【病院経営】 医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈 最高裁平成28年4月8日判決 No4

3  営利性と出資持分

(1) 営利性

 平成18年改正については、医療法人の非営利性の徹底という観点から説明されるように、医療法人は、営利法人ではないと説明されてきた。

 社団における営利目的とは、現在、一般に事業活動における成果を構成員に分配することと解されている。

 平成10年代後半にされた立法についてみると、平成17年成立の会社法は、株式会社において、剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利のいずれも株主に与えない旨の定款の定めは無効であると規定し、残余財産の分配のみの場合も含めて法人の経済的成果にあずかることを営利性ととらえる立場を採用した。

 平成18年に成立した一般社団法人及び一般財団法人に関する法律は、一般社団法人においては、剰余金分配請求権、残余財産分配請求権を社員に付与する定款の定めを無効とし、社員総会によっても社員に剰余金を分配するとの決議をすることができないとした。

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(2) 医療法人と営利性

 医療法は、営利を目的として病院等を開設しようとする者には開設の許可を与えないことができる旨を規定するほか、54条において、医療法人は剰余金の配当をしてはならないと規定する。医療法人は収益が生じた場合、施設の整備・改善、法人の職員に対する給与の改善等に充てるほか、すべて積立金として保留すべきこととなると説明される。

 医療法制定の際の国会審議において、剰余金の分配の禁止の規定について、政府委員は、剰余金の積み立て後にこれを分配することも問題であること、他方、法人に拠出した資金が返還されることは問題がないなどと述べるなどしていた。

 医療法54条は、医療法人が営利法人でないことの根拠として挙げられ、「(医療法人)・・・その営利性については剰余金の配当を禁止することにより、営利法人たることを否定されており、この点で商法上の会社と区別される」などと説明されていた。

 もっとも、平成18年改正前の医療法には、残余財産の分配に関する制限を特段規定していなかった。また、平成18年改正後も、持分の定めのある医療法人の存続が許されている。

 平成18年改正は非営利性の強化を意味するが、上記のとおり、持分の定めのある医療法人の存続が許されていることから、持分の定めのある医療法人の非営利性が、持分の定めのない社団医療法人、財団法人に比較して貫徹されていない点に変わりはないと指摘される。

(3) 医療法人における持分

 医療法人において、「持分」の定めがあるとの文言も使用される。

 もっとも、社団は、一定の目的をもった人(社員)の集まりであるが、社団医療法人は、その事業活動からの成果を目的として社員が集まったものではないし、出資と総会における議決権数との間に必然的な関係はない。

 持分の定めのある社団法人のモデル定款は、社員総会の承認を得て社員となることを規定するが、それ以外に社員の資格を限定せず、出資をしない者も「社員」となれる。また、社員総会における社員の議決権は、持分の定めのある社団についても、通常、一人1票とされていたようであり、平成18年改正により、医療法48条の4においても、このことが規定された。

 上記のような社団医療法人における社員の性質等を考慮すると、持分の定めのある医療法人について、その「持分」は、例えば、民法上の組合において、各組合員が組合財産に対して有する「持分」とは異なるといえる。

 平成18年改正前に、社団医療法人の定款において、出資者に対して財産を返還するとの規定を設けて、社団法人について「持分の定め」があるとされるとしても、本件で問題となる出資に係る返還請求権は、定款の定めによって認められるものであって、その返還額を出資額その他の一定の額に限定することも可能であるし、出資者の返還請求権の総額が、医療法人の財産総額である必然性はない。上記請求権は、定款の定めに基づいて発生し、その内容様が定める債権的な請求権であると考えることができると思われる。

 (続く)

 

 

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