Q&A医療機関・介護施設におけるハラスメントー現場対応のポイントにおいて、Q「医師の応召義務について最近出された厚生労働省通知のポイントと判決の動向について教えてください。」という質問がありました。
P73以下には、以下のとおり解説されています。
「医師法19条1項は、『診療に従事する医師は、診療治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。』と規定しています。これが医師の応召義務といわれるものです。この規定は、医師が国に対して負担する公法上の義務とされ、この規定違反に刑事処罰はありません。このように応召義務は公法上の義務とされていますが、民事上、患者の医師に対する損害賠償請求等で主張されてきました。」
🏹刑事処罰規定はないんですね📝
「応召義務をめぐっては、応召義務における『正当な事由』とは何かについて旧厚労省からの通知が出されていましたが、現代の医療提供体制の変化、勤務医の過重労働が問題となる中で、厚生労働省は、令和元年12月25日付けで新たに『応召義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について』(医政発1225第4)という新通知を出しました。」
🏹令和元年12月25日付けの通知なんですね。
「新通知は、下の図のとおり、3つの考慮要素があるとしています。この中で最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要か否か(病状の深刻度)とし、それ以外の要素として診療時間・勤務時間、患者との信頼関係を挙げています」
🏹緊急対応が必要か否かなんですね
そして、緊急対応が必要な場合で、かつ、診療時間内、勤務時間内である場合には、事実上診療が不可能と言える場合にのみ診療しないことが正当化される とされています。
また、緊急対応が不要な場合でも、診療時間内、勤務時間内である場合には、原則として必要な医療を提供する義務があるとしつつも、緊急対応が必要な場合に比べて緩やかに解釈される とされています。
個別事例としては、①患者の迷惑行為の対応に照らし診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には診療しないことが正当化されるとされています。また、②支払能力があるのに悪意を持ってあえて支払わない場合には診療しないことが正当化されるとされています。
裁判例も、3つ程の最近の裁判例が紹介されています😅
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