【こどもの事故】 認可外保育施設における乳幼児の死亡事故につき、うつ伏せ寝による窒息死であるとして、施設の経営者らの不法行為責任を認めた事例
判例時報No2297号で紹介された大阪高裁平成27年11月25日判決です。
事案は、認可外保育施設に預けていたAがうつ伏せ寝の体位で急死したため、Aの両親であるXらが、保育従事者らに過失があったとして、保育従事者や本件施設の経営者であるYらに対し、共同不法行為を理由として、損害賠償を請求した事案です。
第1審は、Aの死因はSIDS(乳幼児突然死症候群)と認めるのが相当であり、鼻口閉塞による窒息死であると認めることができないから、外因の窒息死を前提とするYらの責任を認めることはできないと判断し、Xらの本訴請求は棄却しました。
そこで、Xらは、原判決を不服として控訴したところ、本判決は、(1)Aの死因は、鼻口閉塞により窒息死に至ったものと推認することができる、(2)保育従事者らは、保育ルームからベビールームに連れていく前に、生後4か月のAがうつ伏せ寝の体位で激しく泣いていたことを認識していたにもかかわらず、ベビールームに運んで仰向けに寝かせた後も、Aの呼吸確認等チェックをすることなく放置し、仰向けに戻さなくても大丈夫であると誤信し、これによりAを鼻口閉塞により窒息死させたのであるから、保育従事者らには注意義務違反があり、不法行為に基づく損害賠償責任を負うと判断しました。
保育園等での幼児の急死については経営者らの責任を追及する事例は少なくありませんが、これらの事件では死亡の原因が中心に争われ、その原因が乳幼児突然死症候群である場合には責任が否定され、その原因が乳幼児突然死症候群でない場合には責任を肯定する傾向にあるとされています。
(福井城)
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