【養子】 養親の相続財産全部の包括受遺者が提起する養子縁組の無効の訴えと訴えの利益の有無
「家庭の法と裁判」21号で紹介された最高裁平成31年3月5日判決です。
「家庭の法と裁判」21号で紹介された最高裁平成31年3月5日判決です。
判例時報No2327号で紹介された東京高裁平成27年2月12日判決です。
原審は、Aの財産等を巡るXとC及びAの激しい対立という本件各養子縁組の背景から、本件各養子縁組は、Aが、Cの関与の下、もっぱらXの遺留分を減少させる目的で行ったものであると強く推認され、Aには実質的な縁組意思がなかったものと認められるとし、Xの請求を認め、本件各養子縁組は無効であるとしました。
ところが、東京高裁は、原審と異なり、実質的縁組意思の存在を肯定し、本件各養子縁組を有効であると判断しました。
養子である被告の供述の信用性が原審と東京高裁とで認定が異なったという事案のようです。
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判例時報No2250で紹介された広島高裁平成25年5月9日判決です。
以前にもブログで紹介いたしましたが、判例時報でも紹介されていましたので、再度紹介します。
本判決は、長谷川式簡易スケールで4~6点との結果であった認知症の高齢者の縁組意思の存否が問題となった事案でしたが、
主治医が本件第一縁組の約2年後に行われた本件第二縁組の縁組届への署名に立ち会い、Aの縁組意思が明確でその意味を理解している旨の覚書を作成し、Aの診療録と一緒に保管していたとの特殊事情があり、そのことがAの意思能力を肯定する上で重要な要素になったのではないかと解説されています。
今後の業務に参考になる裁判例ですね。
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家庭の法と裁判創刊号で紹介された平成25年5月9日広島高裁判決です。
解説によれば、「近時は、認知症の高齢者について縁組意思(意思能力)の存否が問題とされる事例が増加している。
縁組み意思があるとされた事例として、・・・・
縁組み意思がないとされた事例として、・・・・
等がある。
これらの裁判例は、いずれも、認知症の高齢者の意思能力や縁組意思の欠如の有無について、様々な間接事実を検討して、総合判断しているところ、検討された間接事実としては、
認知症の発症時期、縁組み当時における医学的判断(長谷川式スケール等の認知症の程度のテストの結果、主治医の意見書の記載等)、介護認定、縁組届の署名筆跡、養子との従前の人間関係、日常の言動、第三者への相談の有無、弁護士や司法書士等の専門職の関与の有無等がある。」
今回の事案は、長谷川式スケールでなんと4~6点という結果の事案だったのですが、主治医が立ち会い、しかも、縁組み意思が明確でありその意味を理解している旨の覚書を作成されていたことが、重要視されたようです。
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家庭裁判月報平成24年9月第64巻第9号で紹介された事例です。
原審の長崎家裁諫早出張所は、特別養子限組のうち、年齢に関する要件(民法817条の5)を満たさないとして、申立てを却下しました。
ところが、福岡高裁は、原審判を取り消しました。
裁判要旨は以下のとおりです。
「本件申立て時の養子となる者の年齢は7歳11か月であるが、
抗告人(申立人)らは、特別養子縁組の利用を想定して児童相談所に里親登録して、紹介を受けた養子となる者(当時3歳9か月)との交流を深め、養子となる者も抗告人らが自分の父母であって、抗告人ら方が自宅であると認識し始めていたところ、
抗告人の一方が入院したため、予定していた児童相談所の里親委託決定がしばらく延期されたものの、養子となる者が6歳に達する前には日常生活に復帰して、約1か月前には従前以上の頻度ないし密度をもって交流を持っており、
抗告人らは養子となる者が6歳に達する以前から、養子となる者に対し、相当程度、直接的な監護を行う機会があった上、
児童相談所においても、抗告人らは里親として養子となる者に接しているものと認識して、そのような指導をしていたなどの判示の事情の下では、
養子となる者が6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されていたものとして、特別養子縁組を成立させるのが相当である。
原審は、6歳に達する以前からの交流についえは、引き続きの監護があったと評価し得ないこと、里親委託決定が延期されたことを理由に、申立てを却下されています。
事実認定が異なるように思われます。
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家庭裁判月報平成22年2月第62巻第2号で紹介された審判例(佐賀家裁平成21年8月14日)です。
民法798条は、未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならないと規定しています。
裁判要旨は、以下のとおりです。
神職を世襲する社家の承継を主な目的とする養子縁組について、未成年者が本件養子縁組により相続等を通じて申立人所有の不動産を譲り受けることになるという財産上の利益がないではないものの、
将来は、上記不動産に居住し、社家を継いでその活動に従事することが強く期待されることになり、未成年者の将来をかなり制約する可能性が生じること
実父母がこれを承諾し、未成年者も一応了解する意向を示しているとしても、未成年者は10歳であり、本件養子縁組の目的や社家の役割等を十分に理解するには至っていないこと
今後も引き続き実父母の下で適切に監護養育されることが期待される状況にあること
などの事情に照らすと、本件養子縁組は現時点において未成年者の福祉にかなうとはいえず、これを許可することは相当でない
と判断しました。
裁判所の理屈もわかりますが、仮に、未成年者の両親が社家であれば、同じような問題は生じるので、無理に不許可にする理由もないかなと思います。両親も、お世話になっているおじいさんの期待にそいたいという気持ちがあったようです。
ひょっとして、裁判官自身が同じ様な経験をしたことがあるのかな?と勘ぐったりしてみたりしています。
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判例タイムズNo1312号(2月10日号)で紹介された本山敦立命館大学教授の論文です。
藁の上からの養子は、虚偽の嫡出子出生届出書により、親子関係ができたケースのことですが、戦前の生まれの方の場合、時折、聞く話です。
藁の上からの養子については、私が学生時代のころから大いに議論がなされていたと記憶していますが、学説的には、無効行為の転換論が有力でだったと思いますが、裁判所は一環としてそれを否定しているということを学びました。
ところが、近時、藁の上からの養子の案件について、親子関係不存在確認請求事件について、権利濫用と判断した最高裁判決が続いたことから、どのようなケースでも、権利濫用で救済されるものと考えたりしていましたが、実際には、そうではないようです。
権利濫用法理に依拠して親子関係不存在確認請求を排斥した再考足判決は、①最二小判平成18年7月7日民集60巻6号2307頁、②最二小判平成18年7月7日家月59巻1号98頁、③最三小判平成20年3月18日判タ1269号127頁です。
ところが、同じ様な藁の上からの養子の案件で、名古屋家裁平成20年3月27日は、権利濫用法理の適用を認めたにもかかわらず、控訴審の名古屋高裁平成20年12月25日は、Xの請求を認めたようです。
そのため、解説者により、過去の最高裁判決と、今回の名古屋高裁の判決の事案の異同について説明がなされています。
アドバイスをする際には、注意しなければなりませんね。
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判例タイムズNo1311(2010・2・1)号で紹介された裁判例です。
事案は、以下のとおりです。
本件は、86歳のY1が亡夫Aの甥の子Y2とした養子縁組について、Y1の甥Xが、Y1は養子縁組届出前に認知症と診断され医師から成年後見制度の利用を促されXが申立をして、本件養子縁組直後に後見開始審判を受け、養子縁組を理解できずに届出に署名をしたのであり、本件養子縁組はY1の縁組意思を欠き無効であると主張し、その確認を求めた事案です。
本判決は、Y1は認知症発症前にXの義姉Eを祭祀主宰者と指定し全財産を遺贈する旨の公正証書遺言をし、発症後Y2を養子にし全財産を譲ろうと考え、いずれも一面の真意であり注意喚起し選択させない限り相矛盾する2つの意思のいずれかを優越した意思と認めることができず、本件養子縁組はY1の縁組意思に基づいて行われたものといえず無効であるとしました。
解説によれば、認知症の高齢者については、縁組意思の存否が問題とされる事例が増加しているようです。
親しい親族に対する相談や告知の有無、弁護士への相談やその関与等、いわば手続面について全般的に吟味し、高齢者の保護に留意する事例が増加しているように思われると説明されています。
なかなか難しい問題ですが、知っておかなければならない知識ですね。
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