【相続】 特別縁故者

2017年10月28日 (土)

【相続】 社会福祉法人が特別縁故者に認められた事例

 判例時報No2342号で紹介された名古屋高裁金沢支部平成28年11月28日付判決です。

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 被相続人が入所していた障害者支援施設を運営する社会福祉法人が特別縁故者として認められた事例です。

 一般的には、難しそうなイメージがあり、第1審は、特別縁故者を否定しております。

 しかし、第2審は、社会福祉法人がおこなった療養看護は、社会福祉法人として通常期待されるサービスの程度を超え、近親者の行う世話に匹敵すべきもの(あるいはそれ以上のもの)といって差し支えないと判断しております。

 35年間世話をし、入居時には所持金は0円に近かったのですが、死亡の時には2200万円程度の預金が形成できているのですが、それは、被相続人の負担する施設利用料が低廉であったことが大きく寄与しております。

 認定されている事実をみると、ホント、手厚い介護をされております。

 こんな社会福祉法人がまだ日本にあるのですね。

 

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2017年1月12日 (木)

【相続】 欲を出したら、とんでもないことになってしまった事例

 「家庭の法と裁判」2017年1月号(8号)が送られてきました。

 さいたま地裁で、特別縁故者にあたるということで、抗告人Aは2500万円相当の財産、申立人Dも2500万円相当の預金、申立人B、C、Eは、各1500万円相当の預金を取得できる審判がおりました。

 ところが、抗告人Aが、申立人Dと同額はおかしいといって、即時抗告を申立てました。

 ところが、高裁は、そもそも申立人や抗告人らが特別縁故者に本当にあたるの?、あたるとしても、そんな大金を与えていいの?ということになり、審理が差し戻しされることになりました(東京高裁平成27年2月27日決定)。

 家事事件については、不利益変更を禁止するとの原則は適用されないから、変なことになってしまいました。

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  とほほほな事案です。

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2016年12月21日 (水)

【相続】 特別縁故者 ( ..)φメモメモ

 判例時報2310号で紹介された大阪高裁平成28年3月2日決定です。

 被相続人の身の回りの世話をしてきた近隣在住の知人、及び、

 被相続人の成年後見人であり後見人報酬を得ていた4親等の親族について、

 それぞれ特別縁故者であることを否定した原審判を変更し、

 各500万円の財産分与を認めた事例が紹介されていました。

 但し、被相続人の遺産は1億2500万円程度あったようです。

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2016年7月 8日 (金)

【相続】 地方公共団体は、特別縁故者に該当するのか?

 「家庭の法と裁判」第6号で紹介された札幌家裁滝川支部平成27年9月11日判決です。

 地方公共団体が申立人となり、被相続人に対して、介護予防支援事業契約に基づき予防訪問介護サービスの提供等をしたことを理由として行った、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てを却下した審判例が紹介されていました。

 地方公共団体を始めとする法人が自然人と同様に特別縁故者に当たるかどうかについては、なり得るとするのが通説だそうです。

 その上で、地方公共団体が法令又は契約に基づいて事務を行った場合に、これを特別縁故の事情として考慮することができるかどうかについては、見解の対立があるようです。

 余り考えたことがない論点です。

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2016年1月 4日 (月)

【相続】 被相続人との生前の交流の程度に鑑みると、申立人を特別縁故者と認めることはできないとされた事例 東京高裁平成26年1月15日決定

 判例時報No2274号で紹介された決定例です。

 被相続人のAの従姉の養子である抗告人Xが、Aの特別縁故者として相続財産の分与を求めたという事案です。

 Xは、①Xは本家、Aは分家の関係にあること、②生前、XとAは継続的な親戚づきあいがあった、③Aの生前、XはAから後事を託された、④Aの死後、XはAの法要やA宅の庭木等の維持管理をした等と主張しました。

 なかなか難しそうな事案っぽいですね。

 抗告審も、Aが単身で身寄りがないこと、Aの死後XがAの法要やA宅の庭木等の維持管理のため一定の労力と費用をかけ、今後も継続する意思を有していることなど、Aの境遇やAの死後のXの貢献を加えて検討しても、XのAとの生前の交流の程度に鑑みると、Xを特別縁故者と認めることはできないと判断しました。

 残念。

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2015年10月22日 (木)

【相続】 被相続人の相続財産(総額約3億7875万円)のうち、特別縁故者に対して300万円の分与を認めた事例

 判例タイムズNo1416号で紹介された平成26年5月21日付東京高裁決定です。

 高裁は、民法958条の3第1項に基づいて相続財産を特別縁故者に分与するに当たっては、縁故関係の濃淡、程度や期間、相続財産の種類や数額その他一切の事情を考慮して分与すべき財産の種類及び数額を決定すべきものであるとの判断基準を示し、

 Dが死亡した平成18年頃からAが死亡した平成23年頃までの約5年間にXがA宅を訪れたのは5~6回で、せいぜい年に1~2回程度であるから、Xが頻繁にA宅を訪れてAの面倒を見て、物理的にも精神的にもAの生活を支えていたという状況ではなかったこと、

 対人関係を拒絶するようになっていたAとXが円滑な親族関係にあったとまでは認められず、XとAとの実質的な縁故の程度が濃密なものであったとは認められないことなどからすると、

 Aの相続財産の総額が3億7875万円余に上るものであったことなどを考慮しても、Aの相続財産からXに対して分与すべき財産の額は300万円とするのが相当であると説示して、Xの抗告を棄却しました。

 う~ん 1% 以下ですね。。。。 厳しい

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2015年4月18日 (土)

【相続】 特別縁故者も死亡してしまった場合の対応

 家庭の法と裁判創刊号 で、特別縁故者も死亡してしまった場合の処理について問題となった東京高裁平成25年7月3日決定が紹介されていました。

 特別縁故者が相続財産分与を申し立てる前に死亡した場合には、裁判例及び学説ともに、特別縁故者の地位は承継されないと考えられています。

 特別縁故者が相続財産分与の申し立てをした後に死亡した場合、特別縁故者の相続人にその地位が相続されるかについては見解が分かれています。

 積極説と消極説とがありますが、積極説に立つ裁判例の方が数が多そうです。

 本件のように、申立人が死亡し、相続財産法人が成立した場合について、直接論じられている論文はみあたらないようですが、今回の東京高裁は、相続財産法人が申立人の地位の承継をみとめました。

 珍しい事案ですね。

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2015年3月 7日 (土)

【相続】 労災事故により全身麻痺となって長年介護付き施設に入所し、入所中に死亡した被相続人の相続につき、同施設を運営する一般社団法人が被相続人の療養看護に努めた者として特別縁故者にあたるとして判断された事例 髙松高裁平成26年9月5日決定

 金融法務事情No2012号で紹介された髙松高裁平成26年9月5日決定です。

 原審の松山家裁西条支部は、労災特別介護施設と入居者との関係を超えて特別なものとまでは未だ認められないこと、入居費の負担及びその額が申立人と厚労省との労災特別介護事業委託契約に基づき一律に決定されるものであってもそのこと故に対価関係が当然に否定されるものではないとして、特別縁故者を否定しています。

 ところが、髙松高裁は、入所中に親族等との交流もなく、同施設から日常生活につきほぼ全面的な手厚い介護や介助を受けるなどして、満足できる生活状況を維持してきたものと認められることを理由に、特別縁故者を認めました。

 なお、相続財産管理人は、「抗告人が被相続人を約6年にわたって介護して葬儀や納骨手続をしたことや、被相続人が遺言を残していないこと、抗告人に分与することにより被相続人の相続財産を有効適切な使途に充てることが期待できるから、抗告人への分与が被相続人の意思に沿うと推認できる」という意見書を提出していました。

 それにもかかわらず、原審は、特別縁故者を否定し、また、その理由づけも、具体的ではありません。

 高裁では、妥当な解決に訂正されましたが、相続財産管理人の意見と裁判所の考えが異なる場合もありうるというケースであり、この種の相談者には申立て前に十分な説明が必要です。 

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2015年3月 2日 (月)

【相続】 特別縁故者をめぐる法律実務

 平成26年12月に発行された「特別縁故者をめぐる法律実務」を購入いたしました。

 ①総論、②類型別 特別縁故者への財産分与の申立て、③特別縁故者への財産分与の審理・審判の3章から成っております。

 平成23年の特別縁故者の審判件数は、はじめて1000件を超えたようです。

 私の事務所でも、2,3年に1回くらいの割合で、特別縁故者のご相談や申立ての依頼を受けることがあります。

 その中で、申立書を作成する上で一番苦労したのは、相続放棄をした相続人からの申立て事案でしたが、裁判所からはすんなり認めていただいたことを思い出します。

 高品質なリーガルサービスの提供のために活用させていただきます。 

 

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2010年3月10日 (水)

【相続】 被相続人の高額の財産を不当に利得した者を特別縁故者と認めなかった事例(さいたま家川越支平成21年3月24日審判)

 家庭裁判月報平成22年3月第62巻第3号で紹介された審判例です。

 被相続人は平成13年に死亡したのですが、それまで面倒をみていたいとこ(手続中死亡、妻子が承継)が、特別縁故者の申し立てを行ったという事案です。

 差戻前第1審(さいたま家裁飯出平成19年11月13日)は、申立人に、約2000万円のうちの一部である660万円(合計)の分与を認めました。

 ①相続財産管理人の意見は、500万円の分与が相当、②家裁調査官の意見は申立人が負担している不当利得金約560万円に、被相続人の亡兄の葬儀費用を加算した金額が相当という意見でした。

 ところが、申立人は、この決定を不服として、不服申し立てを行いました。

 平成20年8月19日東京高裁は、原審の判断を取り消しました。ところが、その判断理由は、申立人の利益ではなく、不当利得金が約560万円にとどまらないのではないか?、巨額の資産を不当に利得した者を特別縁故者として認めることが相当であるか?という疑問を呈して、原審に差し戻したのです。

 これを受けて、差戻し後の第1審であるさいたま家裁川越支部は、申立人の不当利得は約1250万円であること、このように巨額の資産を不当に利得した者につき、特別縁故者を認めるのは相当でないと判断して、そもそも特別縁故者であること自体を否定しました。

 差戻し前第1審では、660万円認められていましたが、差戻し後第1審では、0円です。のみばかりか、不当利得金として約1250万円として認定されてしまい、法律上は、財産管理人に返還しなければならないことになってしまったようです。

 欲を出してしまったばかりに、とんでもないことになってしまったようです。

 時折、相続人不存在の案件についての相談を受けることがありますが、反対に、このような結果になってしまうこともありうるということを念頭に置きつつ、アドバイスを行う必要性を感じました。

 遺言さえあれば、よかったと思われる案件ですが、申立人側と被相続人とがかかわったころには、すでに被相続人の精神状態も正常ではなかったようです。

 差戻し前第1審の決定について不服申し立てを引き受ける際にも、必ずしも有利な判断が下らずかえって不利になる可能性を指摘するなどの注意が必要です。 

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