【夫婦】 

2017年11月 1日 (水)

【夫婦】 DV保護法の「はいかい」

 判例タイムズNo1440号で紹介された東京高裁平成29年2月24日判決です。

 第1審は、懲役4月、2年間の執行猶予

 第2審は、無罪でした。

 事案の概要は以下のとおりです。

 被告人が、もっぱら被害者の子の修学する学校の校長宛ての手紙を手渡す目的で、学校を訪れ、正門から敷地内に入り、エントランスロビー内で手紙を教頭に渡した後、教頭に見送られて、学校を後にするまで約8分間にわたり学校の敷地内に所在した行為について、

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律10条3項の「はいかい」には当たらないとされた事例

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2016年7月 6日 (水)

【夫婦】 認知症を患っている高齢者の監督義務者

 「家庭の法と裁判」第6号が届きました。

 このブログでも何度か紹介した最高裁平成28年3月1日判決です。

 再び紹介いたします。

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 1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって、その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない

 2 法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、法定の監督義務者に準ずべき者として、民法714条1項が類推適用される。

3 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において、Aの妻Y1が、長年Aと同居しており長男Y2らの了解を得てAの介護に当たっていたものの、当時85歳で左右下肢に麻痺拘縮があり要介護1の認定を受けており、Aの介護につきY2の妻Bの補助を受けていたなどの判示の事情の下では、Y1は、民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない

4 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において、Aの長男Y2がAの介護に関する話し合いに加わり、Y2の妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながらもAの妻Y1によるAの介護を補助していたものの、Y2自身は、当時20年以上もAと同居しておらず、上記の事故直前の時期においても1ヶ月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないなど判示の事情の下では、Y2は、民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない

 う~ん

 だれも責任を負わなくなってしまいましたが、鉄道会社の損害は結局回復されないままになりました。

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2016年3月26日 (土)

【夫婦】 再婚禁止期間と憲法

 民法の再婚禁止期間が憲法に反するのかについては、最高裁大法廷が平成27年12月16日に判断を示していますが、この時の判決文と解説が判例タイムズNo1421号で紹介されていました。

 判決の要旨を紹介します。

① 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は、憲法14条1項、24条2項に違反しない

② 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は、平成20年当時において、憲法14条、24条2項に違反するに至っていた。

③ 法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては、国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして、例外的に、その立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがある。

④ 平成20年当時において国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことは、

ⅰ 同項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分が合理性を欠くに至ったのが昭和22年民法改正後の医療や科学技術の発達及び社会状況の変化等によるものであり、

ⅱ 平成7年には国会が同条を改廃しなかったことにつき直ちにその立法不作為が違法となる例外的な場合に当たると解する余地のないことは明らかであるとの最高裁判所第3小法廷の判断が示され、

ⅲ その後も上記部分についての違憲の問題が生ずるとの司法判断がされてこなかった

 など判示の事情の下では、上記部分が違憲であることが国会にとって明白であったということは困難であり、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。

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2015年8月25日 (火)

【夫婦】 不貞慰謝料請求の実務

 なんと、「弁護士会館ブックセンター出版部」から、今年の7月に判例による不貞慰謝料請求の実務 という書籍が出版されていましたので、日弁連会館を訪ねた際に購入いたしました。

 400頁を超える大書であるため、熟読できませんが、11章にわけて説明がなされております。

 ①不貞慰謝料請求のいま、②不貞行為に関する学説の整理、③当事者の基本的関係図、④不貞訴訟に関する裁判例の推移、⑤不貞訴訟における保護法益論、⑥不貞行為が不法行為になるための要件、⑦請求原因に対する被告の抗弁、⑧原告の再抗弁、⑨慰謝料の算定方法と算定要素、⑩不貞訴訟における特殊な事例と問題点、⑪相姦者の不貞配偶者に対する損害賠償請求訴訟です。

 その⑥において、(1)人工授精は不貞行為か、(2)愛情表現を含むメールを送信することは不貞行為か、(3)手をつないで歩くことは不貞行為か等と、関心を引く論点も整理がされています。

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2014年8月 7日 (木)

【夫婦】 年老いた妻は、どこまで認知症の夫の面倒をみなければならないのか!?

 最近、マスコミによって大きく報道された裁判です。

 妻、子らによって在宅介護を受けていた高度の認知症の高齢者(夫)が徘徊中、鉄道の駅構内で列車に衝突し、鉄道会社において、高齢者(妻)の監督義務者としての責任が肯定された名古屋高裁平成26年4月24日判決が、判例時報2223号で紹介されていました。

 同じく高齢者である妻が、民法714条1項の夫の監督義務者に該当するかが問題となりました。

 裁判所は、①夫は重度の認知症による精神疾患を有する者として「精神保健及び精神障害福祉に関する法律」5条の精神障害者に該当すること、②同法20条1項、2項2号により妻は夫の配偶者として「保護者」の地位にあったこと、③現に夫婦が同居して生活している場合には、夫婦としての協力扶助義務の履行が法的に期待されないとする特段の事情のない限りは、精神障害者となった配偶者に対する監督義務者に該当すると判断しました。

 妻も、左右下肢に麻痺拘縮があり、起き上がり・歩行・立ち上がりはつかまれば可能、座位保持・片足での立位は支えが必要であり、ひどい物忘れがときどきあることから、要介護1の認定を受けていました。

 しかしながら、妻は、子ども等の親族の援助を受けながら、夫の生活全般に配慮し、介護するなどをしていたことから、夫婦としての協力扶助義務の履行が法的に期待されてないとする特段の事情があるとはいえないとして、妻に賠償責任を負担させました。

 但し、鉄道会社の落ち度も認め、半分だけ、具体的には約360万円程度の賠償責任を認めたわけです。

 マスコミ報道では、要介護の妻に賠償責任を認めたとして取り上げられたように思いますが、子細を検討すると、それ相応の理由で賠償責任が認められているように思います。

 また、夫は、不動産の他に、5000万円を優に超える金融資産があったようです。

 両者痛み分けのような裁判結果となっています。 

 

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2013年7月15日 (月)

【夫婦】 内縁・事実婚をめぐる法律実務

 新日本法規から、5月に出版された「内縁・事実婚をめぐる法律実務」です。編著のお一人に鬼丸かおる最高裁判事(弁護士出身)がおられます。

 全部で、4章にわかれています。

 ① 内縁の成立、② 内縁・事実婚継続中の権利・義務、③ 内縁・事実婚と子の法的地位、④ 内縁・事実婚の解消 です。

 死亡による内縁解消については、財産分与、死亡退職金、遺族年金等について、わかりやすい解説がなされていました。

 当然、嫡出でない子の相続分も議論されていました。P179に、「なお、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする定めは、憲法で保障されている法の下の平等に反すると争われている裁判が、平成25年2月、最高裁判所大法廷で審理されることになりました。今後、最高裁判所や法律改正により、嫡出でない子の相続分が変更となる可能性があります。」と紹介されていました。

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2013年4月 2日 (火)

【夫婦】 国民年金及び厚生年金保険の被保険者であった夫と別居中であった妻が、国民年金法及び厚生年金保険法に基づき遺族基礎年金及び遺族厚生年金の支給を受けることのできる妻(配偶者)に当たるとされた事例

 判例時報No2175号(4月1日号)で紹介された東京地裁平成23年11月8日判決です。

 事案は、旧社会保険庁長官から、Aの死亡当時、AとXとの間に生計維持関係が認められないことを理由に、遺族基礎年金及び遺族厚生年金を支給しない旨の決定を受けたため、本件不支給決定が違法であるとして、その取消しを求めたというケースです。

 AとXとは、AのDVや暴言が原因で平成19年9月にXが子どもを連れて別居を開始したものの、平成19年10月にXは離婚・婚姻費用の調停を申立てを行い、それがなされたころから、AはXやその両親に攻撃的となり、その両親に対して脅迫や暴力を行うようになりました。

 そして、面接交渉の際に、Aは、子どもを連れ去り、この際にXに対して傷害を負わせています。

 Xは、監護権者及び子の引渡しの審判及び保全処分を申立て、裁判所もこれを認めましたが、Aの抵抗にあい、執行不能となりました。

 その後、Xは、人身保護請求の申立てを行い、裁判所は発令しましたが、Aはそれには従いませんでした。

 その後、Xは、離婚の裁判を提訴したものの、AからはXに対して、趣旨が一貫しないメールを度々送信してきています。

 平成20年10月、Aは自殺しました。

 いや~ これは、大変な難事件です。

 近時、夫婦間の事案は、難しいものが増えているように思います。

 

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2012年7月 3日 (火)

【夫婦】 Q&A DV 事件の実務 (日本加除出版)

 平成24年5月11日に出版されたQ&A DV事件の実務 という書籍です。

 2部構成になっています。

 第1部は、DV事件実務の基礎として、①DV及びDV防止法、②DV防止法の概要、③保護命令、④DVを原因とする離婚手続等、⑤DVと子どもに関する問題、⑥外国人被害者、⑦DVと刑事手続、⑧保護や支援のための機関について、⑨相談や受任に際して注意すべきことにわかれています。

 第2部は、実務解説として、①相談受付・受任時ほか、②保護命令申立て、③一時保護などの民間や行政支援の利用、④DVを離婚原因とする離婚手続、⑤子どもがいる場合、⑥外国人にかかる場合、⑦刑事手続を要する場合、⑧そのほかに分かれています。

 巻末には、資料として書式も収録されています。

 DV事件を取り扱う際の基本書的な書籍の1つではないでしょうか?

 ただ、近時、離婚等を有利に進めるために虚偽のDVの主張を行う当事者もいるやに聞きますので、相談時や受付時には、本当にDVを受けているのか慎重な聴き取りが必要です。

 

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2011年8月18日 (木)

【夫婦】 受信者の妻による夫名義の放送受信契約の締結が民法761条の日常家事行為に含まれるとした事例 札幌高裁平成22年11月5日判決

 判例タイムズNo1349号(8月15日号)で紹介された札幌高裁平成22年11月5日判決です。

 受信者の妻による夫名義の放送受信契約の締結が民法761条の日常家事行為に含まれるのか?という論点です。

 負けた視聴者は最高裁に上告しているようですが、そもそも、NHKの受信料程度で中途から支払いを拒み続け、それが不服で最高裁まで上告しているというのは、驚きました

 元々12万円程度のものです・・・・

 札幌高裁は、被控訴人が、放送法32条1項本文に基づき、契約締結当時(平成15年)、控訴人の放送を受信できる受信設備の設置者として控訴人と放送受信契約を締結すべき義務を負担していたことを前提に、

 契約締結当時、一般的な家庭において、テレビを家庭内に設置してテレビを視聴することは、日常生活に必要な情報を入手する手段又は相当な範囲の娯楽であり、また、これに伴って発生する受信料の支払も、日常家事に通常随伴する支出行為と認識され、その金額も夫婦の一方がその判断で決しても家計を直ちに圧迫するようなものではなかったとして、被控訴人の妻による放送受信契約締結行為は、民法761条の日常家事行為に含まれると判断しました。 

 まあ、結論としては、妥当な判決だと思います。とはいえ、このようなことで最高裁まで争われるということがあるので、奥様から夫名義での契約書をもらうのは意思確認を行うなどの注意が必要かもしれません。 

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2011年2月15日 (火)

【夫婦】 夫婦の法律相談 第2版 有斐閣

 有斐閣から、「夫婦の法律相談」(第2版)が、昨年12月に発行されましたので、早速購入しました。

 第1部が夫婦の法律問題、第2部が家事事件の紛争解決手続について触れており、183の設問を利用して、わかりやすく解説している良書です。

 執筆陣は、大学の先生を中心に、裁判官等の法律実務家によるものです。

 設問86では、離婚後の共同親権についても少し触れられています。

 「子どもを巡る問題について一番望ましいのは、子どもに関しては両親が協力することですから、両親の間で、親権についての理解を深め、子どもを監護・養育することについての共通認識を構築し、協力体制をつくる等が必要です。その中で、当事者が自主的に親権者についての結論を出せるようになることが望ましいということができます。ところが、上記のような事情から親権を巡る争いが深刻化し、子どもの健全な育成といった視点が忘れられることも多いのが現実です。将来的には、離婚後も共同親権とされることが、法改正として検討され始めています。具体的には、共同親権となった際、親権者間で意見対立が生じた場合の、調整手続の設置等が検討されています。」(同書P245~P246)。

 「最近では、親権者にならなかった親(あるいは、監護親にならなかった親)と子どもとの間の面接交渉権が、重視されるようになりましたので、親権者が一方の親に定められたとしても、面接交渉権等を通じて、親権者でない親が子どもの成育に対して果たす役割も重要になっているということができます。そのため、理想としては、離婚後も、子どものことに関しては、両親が、協力することができることが重要であり、共同親権の行使に近い状態をつくることができれば、子どもの成長にとって望ましいということができます。」(同書P248)。

  本書については、その都度参考にするのが、良いと思います。

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