【介護施設】

2016年7月24日 (日)

【介護施設】 医療・介護施設における高齢者の事故についての損害賠償請求に係る諸問題

 判例タイムズNo1425号の現役の若い裁判官(判事補)の報告です。

 目次を紹介いたします。

 第1 本稿の目的

 第2 責任論

   1 はじめに

   2 転倒・転落

     (1)総論

     (2)裁判例

   3 誤嚥・栄養管理

     (1)総論

     (2)裁判例

   4 感染症・褥瘡

     (1)総論

     (2)裁判例

   5 その他

     (1) 適応に関する事案

     (2) 薬剤の投与に関する事案

 第3 損害論

   1 はじめに

   2 素因減額

   3 因果関係のある損害額の限定

     (1) 逸失利益の減額

     (2) 慰謝料の減額

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 分析となった裁判例は、平成11年4月から平成27年3月までの16年間に、判例タイムズ、判例時報、医療判例解説に掲載された医療機関又は介護施設に関連した裁判例のうち、患者等が死亡時に75歳以上であったものとなっております。

 個人ではとてもじゃないがそのような分析は不能です。

 とても感謝いたします。

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2015年2月28日 (土)

【介護施設】 Y障害者支援施設からの57歳男子の失踪は、自らの意思で断りなく離脱から、Y施設の過失を否認した 東京高裁平成26年3月20日判決

 自保ジャーナルNo1936号で紹介された東京地裁平成26年3月20日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 Y障害者支援施設入所の57歳男子Aが施設から失踪して、その妻Xが慰謝料等を請求する事案につき、 

 Aは、「転倒の危険性や服薬を怠った際にAの障害の程度に応じたその身に生じ得る危険があり、Yはこの危険性を予見することが可能であった旨、仮にAの失踪についての予見可能性が必要であるとしても、Yは、Xが職員に対して話した内容からAの失踪を予見し得た旨主張する。

 しかし、Aは、自らの意思で、自動車を手配するなどして職員に無断で本件施設を離脱し、失踪したものと認められるのであるから、Yに過失があるとするためには、上記のような態様による失踪の予見可能性が問題となることは原判決説示のとおりであるし、

 転倒ないし薬効の消滅を前提とする危険についての予見可能性をもって上記態様による失踪を防止すべき注意義務を根拠付けることはできない。

 また、Xは、職員のBに対し、Aが他の施設を利用していた際に無断で外出し、図書館で倒れたことなどを話したと主張するが、

 これを裏付ける客観的な証拠はなく、むしろ、Xは、職員に対してAを歩かせることを強く希望していたものであり、そのようなXがあえて上記の希望を実現することによって阻害要素となる可能性のある過去の無断外出時の転倒事故に言及したというのは不自然であるばかりでなく、職員が作成した生活支援計画書においても、そのような具体的経験自体の記載やこれを前提としたとみられる記載はないことなどの事情に鑑みても、X主張のような説明があったと認めることができないことは、原判決の説示するとおりである等、

 法律上、指定療養介護事業者は、指定療養介護の提供に当たっては、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむをえない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならないとされているのであって、この観点に鑑みても、本件事故当時の状況において、YにX主張のような義務があったものと認めることはできない

 として、Xの請求を棄却しました。

 施設入所の方が、車を手配して、行方不明になってしまったという事案です。

 原告は、「万が一、何があっても施設の責任だと思わないので、歩けるときに歩かせて欲しい」とYに述べていたようです。

 

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2014年7月26日 (土)

【介護施設】 有料老人ホームにおいて入居者に褥瘡が生じた場合につき、ホームの運営者の注意義務違反が否定された事例 東京地裁平成26年2月3日判決

 判例時報の2222号で紹介された東京地裁平成26年2月3日付け判決です。

 裁判所は、①Aが褥瘡を発症したのは、平成22年10月29日である、②Yは、Aの臀部を観察して異常を認めた際、適宜に専門医に受診させており、YがAを専門医に受診させるべき注意義務に違反したとは認められないと判断して、原告の請求を棄却しました。

 原告は、褥瘡を発症したのは、平成22年9月29日ころと主張し、被告は、平成22年11月5日であると反論していました。

 裁判所は、平成22年10月29日と判断したわけですが、解説者によれば、それでは、老人ホーム入居後であることから、Aの褥瘡の発症についてのYの注意義務違反の有無について明確な判断がなされていないのは不思議であるとコメントしております。 

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2014年3月12日 (水)

【介護施設】 高齢者が通所介護契約に基づき介護サービスを受けている間、送迎車両から降車しようとし、席を立った際、転倒し、翌日大腿骨頸部骨折が判明した事故につき、介護施設の運営者の安全配慮義務違反が否定されたが、速やかに医師の診察を受けさせる義務違反が肯定された事例 東京地裁平成25年5月20日判決

 愛媛の弁護士の寄井です。

 このブログでは、介護施設関係の事故も、カテゴリーをもうけて紹介させていただいております。

 判例時報の解説を一部引用します。

 「本件では、転倒防止義務(安全配慮義務)の違反の成否、速やかに医師に通報して診察を受けさせる義務違反の成否、損害額が争点になった。

 本判決は、まず、法令に定める人員配置基準を満たす態勢の下、必要な範囲内において利用者の安全を確保すべき義務を負っているとし、

 本件の事情の下では、Xが不意に動き出して車外に出ようとしたことを具体的に予見することが困難であった等とし、Yの安全配慮義務違反を否定したが、

 介護中に利用者の生命及び身体等に異常が生じた場合には、速やかに医師の助言を受け、必要な診察を受けさせる義務を負うとして、

 本件ではXの痛みが継続していたこと等の事情から、本件契約上の条項違反をも考慮して、同義務違反を認めた上で、

 慰謝料として20万円の支払いを認めました。

 事故後高齢者が痛みを訴えたにもかかわらず、外傷がなかったことから、医師の診察が遅れてしまったという事案です。 

 

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2014年3月 2日 (日)

【介護施設】 障害者総合支援法パーフェクトガイド

 今年の2月1日に発行された「福祉施設運営用 詳解 障害者総合支援法パーフェクトガイド 」です。

 当事務所では、複数の方の後見人をさせていただいていることや、地方公共団体の顧問をさせていただいていることなどから、障害者関係法令については、少しですが、勉強するようにしています。

 本書はわかりやすく最新のデータに基づいて書かれており、参考になります。

 7章から成っております。

 ①障害者関係法令の知識、②障害者福祉サービス、③障害福祉サービス事業を始める前に、④障害福祉サービス事業開始の手続、⑤障害年金の制度と手続、⑥障害者と成年後見制度、⑦障害者に対するその他の支援です。

 但し、分厚い書籍なので、問題があれば読む感じですかね。 

 

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2014年3月 1日 (土)

【介護施設】 障害者総合支援法がわかる本 

 昨年、7月に発行された「障害者総合支援法がわかる本 」を、広島県福山市の本屋さんで購入しました。

 障害者総合支援法のポイントが要領よくまとめられています。

 第1に、障害者の範囲の見直し(平成25年4月施行)です。

 難病患者等で病状の変動等により身体障害者手帳を取得できない一定の障害のある人も対象となりました。

 第2に、障害程度区分を障害支援区分に変更(平成26年4月)します。

 障害の程度ではなく、心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す区分であることを明確にするため、区分を変更しています。

 第3に、重度訪問介護の対象を拡大(平成26年4月)しました。

 肢体不自由者だけでなく、重度の知的障害者・精神障害者も対象に入れました。

 第4に、共同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)への一元化(平成26年4月施行)

 ケアホームをグループホームに一元化して、グループホームで、日常生活上の相談に加え、入浴、排泄、食事の介護、その他日常生活上の援助を提供できるようにしました。

 第5に、地域移行支援の対象を拡大(平成26年4月施行)しました。

 第6に、地域生活支援事業の追加(平成25年4月施行)しました。地域生活支援事業に、①障害者の自立した日常生活及び社会生活に関する理解を深めるための研修・啓発、②障害者やその家族、地域住民等が自発的に行う活動の支援、③市民後見人等の人材の育成・活用を図るための研修、④意思疎通支援を行う者の養成が加わりました。

 第7に、サービス基盤の計画的整備(平成25年4月施行)です。 

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2013年2月28日 (木)

【介護施設】 介護老人保健施設において浣腸を受けた後、高熱や腹痛等を訴え、敗血症により死亡した入所者について、看護師に浣腸時の体位の選択に関する注意義務違反があり、そのため直腸壁が損傷し、その後他の因子も寄与して損傷が拡大するなどして、敗血症を発症し、死亡に至らしめたものであるとして、死亡慰謝料の請求を一部認容した事例 大阪地裁平成24年3月27日判決

 判例タイムズNo1384号(3月号)で紹介された大阪地裁平成24年3月27日判決です。

 このケースでは、遺族は、亡くなった方の死亡慰謝料として、2500万円を請求しています。

 しかし、裁判所は、死亡慰謝料は、敗血症が発生する原因となった直腸壁の損傷の拡大ないし穿孔には、Aの既往症、当時の身体状況等の諸般の条件が少なからず寄与していることが考えられることなどを考慮して、800万円の限度で認めています。

 被告は、素因減額(過失相殺)の主張をしていませんが、事実上、素因の主張を認めたかのような減額をしています。

 死亡慰謝料って、過失相殺や素因減額がなければ、2000万円を大きく下回るということはないと思いますが、今回は、大きく下回っています。

 このことからすれば、死亡した方に、既往症や当時の身体状況等の条件が死亡という結果の発生に寄与している場合には、死亡慰謝料が大きく削られる可能性があるために、注意が必要ではないかと思います。

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2012年11月 9日 (金)

【介護施設】 終身利用権付き介護有料老人ホームに平成18年1月4日に入所した87歳の男性が褥瘡が悪化し細菌感染による敗血症を発症して同月21日に死亡した場合について、特定施設入所者生活介護利用契約の不履行注意義務違反を認め、遺族に対する損害賠償責任が認められた事例 横浜地裁平成24年3月23日判決

 判例時報No2160(11月1日)号で紹介された横浜地裁の裁判例です。

 判旨の骨子を紹介します。

 Aの褥瘡はAがB病院に救急搬送された時点で表面が1.5㎝×2㎝程度の大きさよりは倍以上に拡大し、その内部においては、同月18日時点の状態又はこれに準じる状態まで拡大、悪化し、細菌感染を起こしていたものと認めるのが相当

 本件施設は、介護付き老人ホームとして特定施設入所者生活介護利用契約等に基づき、Aに対して介護、健康管理、治療への協力等のサービスを提供する義務を負っていたことなどを踏まえ、本件施設はサービス提供義務の具体的内容として、Aについて2時間ごとの体位変換による除圧、患部の洗浄等による清潔の保持その他の適切な褥瘡を悪化しないよう注意すべき義務を有していた

 Aは本件褥瘡からの細菌感染が原因で敗血症を発症し、それにより全身状態での悪化を来し、死亡したと認めることができるとした上で、

 敗血症を発症するほどの本件褥瘡の悪化は、本件施設の債務不履行、注意義務違反により生じたと認めることができる

 原告側に、搬送先の病院が補助参加しています。施設の方は、搬送先の治療に問題があったと主張していたようです。

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2012年8月23日 (木)

【介護施設】 介護老人保健施設に入所中の高齢者が転倒、骨折した事故につき、入所利用契約上の転倒回避義務違反の債務不履行が認められた事例 東京地裁平成24年3月28日判決

 判例時報No2153号(8月21日号)で紹介された東京地裁平成24年3月28日判決です。

 本判決の概要は以下のとおりです。

 Yは、Xが施設入所後多数回転倒しており、転倒の危険性が高いことをよく知っていたから、入所利用契約上の安全配慮義務の一内容として、Xがベッドから立ち上がる際などに転倒することがないよう見守り、Xが転倒する危険がある行動に出た場合には、その転倒を回避する措置を講じる義務を負っていた

 しかるに、Yは、Xがベットから立ち上がり転倒する危険のある何らかの行動に出たのに、Xの動静への見守りが不足したため、これに気づかず、転倒回避のための適切な措置を講ずることを怠ったために、転倒事故が発生したとして、Yの債務不履行責任を認めました。

 合議事件のようですが、控訴されています。

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2012年3月21日 (水)

【介護施設】 今治市の「障害者虐待防止支援モデル事業」の打合せ会に参加してきました

 本日午前、今治の「障害者虐待防止支援モデル事業」の打ち合わせ会に、当事務所の市川聡毅弁護士と一緒に、参加してまいりました。

 平成23年6月24日に公布された「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」は、今年の10月1日に施行されます。

 障害者虐待防止法を一読すると、虐待の通報先が市町村になっていること、虐待には心理的な暴力や横領なども含まれることから、市町村に設置が予定されている障害者虐待防止センターの役割は、大変大きなものがある反面、施行が差し迫っていることから、その準備に負われて負担は大きいだろうなと想像しています。

 今日は、公的機関や福祉施設、病院等の関係者からの個別的な質問に回答しましたが、虐待という事象を考えると、迅速性が要求されることも少なくないと思われることから、関与される方々の苦労は、大きいものと思われます。

 愛媛県でも、「障害者虐待防止連絡会議」をもうけて協議調整を諮っているところですが、支援機関の参加者名簿をみると、愛媛弁護士会は欠席となっています。他方、愛媛県司法書士会からは、会長以下3名出席しています。

 欠席は偶々なんでしょうが、法律家の職能団体として弁護士会からも誰かが参加すべきだったのでは?と思います。

 

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