【親子】 親に会いたい!
判例時報No2396号で紹介された横浜地裁平成30年7月20日決定です。
判例時報No2396号で紹介された横浜地裁平成30年7月20日決定です。
家庭の法と裁判No17号で紹介された広島高裁平成29年3月31日決定です。
原審申立人B(参加人【母D】の二男)が、原審相手方ら(参加人の長男A及び三男C)に対し、参加人の扶養料の支払い並びに参加人及び同人の亡夫Eへの過去の扶養料の求償を求めた事案について、
子の老親に対する扶養義務は生活扶助義務と解され、
扶養料の額は被扶養者の生活を維持するために必要である最低生活費から被扶養者の収入を差し引いた金額を超えず、かつ、
扶養義務者の余力の範囲内の金額とすることが相当であり、
また、扶養義務者間の分担額を検討するに際しては、扶養義務者の配偶者の年収を斟酌することが許されるなどして、扶養料及び過去の扶養料の求償額を定めた事例
原審は、Aにつき、月額1万7200円、Cにつき、月額4万6700円をDに支払うこと、過去の扶養料については、Aにつき、168万6081円、Cにつき、457万4763円を、Bに支払うよう命じました。
これに対して、Aのみが即時抗告しました。
その結果、Aは、Dに対して、月1万3450円を支払う、Bに対して、86万2535円を支払うということになりました。
過去の扶養料の求償も、この手続きで請求できるのですね。
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家庭の法と裁判第4号で紹介された札幌高裁平成26年7月2日決定です。
お母さんが、子どもに対して、生活費(月額)は27万6700円は必要だとして、年金部分の7万6725円を控除した19万9975円の請求をしたところ、
第1審は、抗告人の生活費としては月額16万5700円が妥当だとして、扶養料を月額9万円としたことを、抗告人が不服として、即時抗告したという事案です。
第2審は、扶養料の額は、抗告人の必要とする事故の平均的生活を維持するために必要な最低生活費から抗告人の収入を差し引いた額を超えず、かつ、被抗告人の扶養余力の範囲内の金額とするのが相当であると判示した上、総務省統計局の家計調査報告をもとに抗告人の最低生活費を算出して、第1審を変更して、扶養料を月額11万円としたようです。
もともと、子どもは、医師でもあり経営の才覚もあったことのようでして、複数の病院を経営して成功した後に、母親(子どもの父親である前夫とは離婚)を理事として遇して、月額40万円の報酬を支払っていたようです。
また、退職する際には、432万円程度のお金も支払っています。
ところが、母親は、再婚した夫とも離婚し、また、子どもとも折り合いが悪くなり、結局、理事として再任されずに、ついには、生活保護の申請を行うようなところまでに至ったようです。
あまりほめられたお母さんではなさそうな印象を受けました。
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判例時報No2235号で紹介された2つの最高裁平成26年7月17日判決です。
同じような事案が、旭川と大阪であったみたいです。
最高裁は、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、夫と妻が既に離婚して別居し、子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条による嫡出の推定が及ぼなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である
法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが、同条(民法772条)及び774条から778条までの規定はこのような不一致が生じることをも容認しているものと解される
嫡出推定の働く場合には、注意しないといけませんね。
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判例時報No2226号で紹介された最高裁平成26年1月14日判決です。
血縁上の父子関係がないことを知りながらYを認知したXが、Yに対し、自らした認知の無効を主張して、認知の無効の訴えを提起した事案です。
最高裁は、結論として、認知者は、民法786条に規定する利害関係人に当たり、自ら認知の無効を主張することができること、この理は、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知した場合においても異なることはないと判断しております。
もっとも、制限の必要がある場合には、権利濫用の法理などによりこの主張を制限することも可能であるとしております。
まあ、認知者が認知するに至る事情は様々ということなのでしょう。
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判例時報No2095号(平成23年1月21日号)で紹介された裁判例です。
タイトルで記載しているように、東京高裁は、権利濫用を根拠に、親子関係不存在確認請求を棄却しました。
藁の上の養子の場合には、平成18年7月7日最高裁判決が、権利濫用を理由に、親子関係不存在確認請求を認めませんでしたが、今回のケースのように、「産院で取り違えられた場合」についても同判決の射程範囲であるかどうかが問題となりましたが、高裁はその射程を広げたものとして注目されています。
控訴人の方は、DNA鑑定の結果に、大変驚いたでしょうね。
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判例時報No2042号(平成21年8月1日)で紹介された名古屋高裁平成20年12月25日判決です。
いわゆる「藁の上からの養子」に対する他の実子からの親子関係不存在確認請求訴訟が権利濫用として許されないかどうかが問題となった事案です。
本判決は、親子関係などの身分関係存否確認訴訟は基本的身分関係の存否につき争いがある場合に対世効を有する判決をもって画一的確定を図るものであること等から、真実の血縁関係と戸籍の記載が乖離する場合には原則として身分関係の存否確認を請求し得ると述べた。
↓ しかし
請求の背景となっている具体的な状況と実際の結果に照らし、これを権利の行使として認めることが社会通念上不当であると判断されるような場合は、例外的に権利の濫用として許されないものというべきであるとした。
↓ そして
具体的には、
① 実の親子と同様の生活の実体のあった期間の長さ
② 判決をもって実親子関係不存在を確定することにより、子及びその関係者の受ける精神的苦痛、経済的不利益
③ 改めて養子縁組をすることにより子の身分を取得する可能性
④ 親子関係不存在確認請求訴訟をするに至った経緯、動機、目的
⑤ X以外に著しく不利益を受ける者の有無
を総合して、実親子関係の不存在を確定するkとおが著しく不当な結果をもたらすといえるときには、当該請求は権利濫用に当たり許されない
↓ あてはめ
(1)現時点でABの実子であることを否定されることによるYの精神的打撃は小さいものではないが、Yは中学生のころからABの実子ではないこと知っていたので、その精神的打撃は甚大であるとまでは認められないこと
(2)既にABは死亡しており、Yは改めて養子縁組をすることはできず、その相続権を失うが、YはAB夫婦から大切に育てられ、結婚の際にも事実上の財産分けを受けていたと認められること
(3)他方、Xは大学進学を断念して家業を継ぎ、病弱のAに代わり家業を盛りたて財産を形成維持してきたこと
(4)Xによる訴訟提起の直接のきっかけは、家業廃業に伴いAの遺産である宅地を処分して借入金を返済しようとしたところ、Yが同意しなかったことにあり、本件訴訟の主たる目的はYの相続権を否定することにあると認められること
から、権利濫用にはあたらないと判断しました。
事実関係からの記載からは、Xは、Yやその夫に対して資金援助を行っていること、Yが破産申請を行った際に相続により得た財産はないと申告していること、もともとYは土地の売却に判をおすと言っていたのに、自分の相続分が考慮されていないとして判を押さなかった事情をうかがうことができます。
とすれば、結論的には、Xを勝たせるべきであり、高裁の判断は妥当と考えられます。
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