【相続】 遺産相続事件処理マニュアル
令和元年11月に、新日本法規から出版された、「遺産相続事件処理マニュアル」です。
令和元年11月に、新日本法規から出版された、「遺産相続事件処理マニュアル」です。
新日本法規から、昨年6月に出版された「シミュレーションでみる遺産分割方法のメリット・デメリット」です。
判例時報No2446号で紹介された大阪高裁令和元年7月17日付決定です。
抗告人(原審申立人)が、相手方(原審相手方)に対して、遺産分割協議成立後に発見された遺産の分割を求めた事案において、
先行する遺産分割が法定相続分と異なる不均衡なものであったことを考慮し、本件の遺産を全て抗告人に取得させるべきとした抗告人の主張を排斥し、
先行する遺産分割の際に各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても、そのことを是認していたというべきであり、その後の清算は予定されていなかったとして、本件の遺産を法定相続分により分割した原審の判断を是認し、抗告を棄却した事例です。
要は、遺産分割協議後に遺産が判明したため、結果として一部分割が先行した事案において、先行協議の意思解釈により残余遺産のみを法定相続分に従って分割することで足りると判断したものです。
例えば、仮に、遺産が100万円あり、法定相続分が同一の相続人Aと相続人Bとが、80万円と20万円で分割しました。ところが、後から、遺産50万円が出てきた場合に、それをどのように分割すべきかということです。
裁判所は、後からの50万円は、AとBとで、25万円ずつ分けるべきと判断したわけです。
もちろん、相続人Bは、本来遺産は、150万円の半分、つまり75万円ずつでわけるべきところ、Aは80万円を取得しているから、Bは残りの50万円は全部取得すべきだと主張したのですが、認められませんでした。
これって、間違って、Bさんが主張したようなアドバイスをしてしまう可能性もありますよね。
金融法務事情No2107号で紹介された高松地裁平成30年5月15日判決です。
(高知・佐川町)
判決要旨は以下のとおりです。
① 共同相続人間で成立した遺産分割協議が後に確定判決により無効と判断された場合において、上記分割協議に基づいて賃貸不動産を取得した相続人が賃借人から受領した賃料について、当該相続人は民法190条1項の悪意の占有者に当たり、果実取得権を有しないから、不当利得の成立が認められる。
② 共同相続人で成立した遺産分割協議に基づいて相続人が相続税の申告をして相続税を納付した後に確定判決により当該分割協議が無効と判断され、新たに遺産分割審判がされた場合において、当該分割審判を前提に相続税額を計算すれば、共同相続人間で納付済みの相続税額のほうが多額になる者と少額になる者が生じたとしても、これは相続税を国に納めることにより国との関係で生じているにすぎないから、仮に利得と損失が生じていると捉えるとしても、利得と損失との間に因果関係はなく、不当利得の成立は認められない。
なお、②については、類似事案があるようです。
大阪地裁平成6年5月11日判決は、事実を異なる相続税の申告をしたために、本来の税額より多額の相続税を負担で済んだ者から、本来の税額より少額の相続税の負担で済んだ者に対する不当利得返還請求をした事案において、因果関係の存在を否定する判断をしております。
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新日本法規から平成30年4月に出版された「Q&A未分割遺産の管理・処分をめぐる実務」 を購入しました。
3章で構成されています。①未分割遺産の権利関係、②未分割遺産の管理と処分、③未分割遺産の税務申告です。
遺産分割事案は、田舎弁護士もよく取り扱っています。長期化している事案も少なくありません。家族で争う事案も少なくありません。
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家庭の法と裁判 1月号です。
大阪高裁平成28年9月27日決定です。
遺産の中の一部の土地について抗告人に取得させた上で、代償金の支払いを命じるなどした原審判の一部を変更し、
抗告人の代償金支払能力や、抗告人が同土地の換価分割に反対し、相手方もこれに難色を示していることなどを考慮すると、
双方の希望と公平な分割を実現するには同土地を共有取得させることもやむを得ないとして、共有取得を命じた事例
遺産分割の方法は、原則として、現物分割によるものとされていますが、特別な事情がある場合には、代償分割も許されています。但し、最高裁平成12年9月7日決定によれば、代償分割をするためには、債務負担を命じられる相続人に支払い能力があることを要するとされています。
第1審では、代償分割を認めましたが、第2審では、現物分割としました。このような悩みのある相談って意外と多いですよね。
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判例時報No2346号で紹介された福岡高裁平成29年5月18日判決です。
①遺留分減殺請求において、被代襲者が生前に受けた特別受益が、被代襲者の死亡後に代襲相続人となった者らの特別受益に当たるとされた事例
②推定相続人でない者が被相続人から贈与を受けた後に、被代襲者の死亡によって代襲相続人としての地位を取得した場合には、特段の事情がない限り代襲相続人の特別受益には当たらないものの、右贈与が実質的には被代襲者への遺産の前渡しとも評価しうる特段の事情があるとして、特別受益に当たるとされた事例
2つの論点が含まれていました。
あまり考えない論点なので、勉強になります。
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判例時報No2311号で紹介された札幌高裁平成27年7月28日決定です。
第1審は、Bは、被相続人Dの指示で勤務中の会社を退職し、平成元年からDの経営する簡易郵便局での勤務を開始して、Dの事業に労務の提供をし、その後平成11年頃からはBが同郵便局の事業を事実上取り仕切る立場にあり、Bが正式経営している平成23年度の売上金額が994万円余りであったこと、その他B夫婦がDから受領していた給料の額、BがDの郵便事業に関与していた期間等に鑑みれば、Bの特別の寄与額は相続開始時の遺産総額の1億366万円余の約3割にあたる3100万円と認めるのが相当であると審判しました。
これを受け、Aが抗告しました。
大2審は、平成18年までの郵便局の事業主体はDであったこと、給与水準は従事する事業の内容、企業の形態、規模、労働者の経験、地位等の諸条件によって異なるから、賃金センサスによる大卒46歳時の年収平均額に満たなかったとしても、B夫婦の収入が低額であったとはいえず、むしろ月25万円から35万円という相応の収入を得ていたというべきである、Bの郵便局事業への従事が被相続人Dの財産の維持・増加に特別の寄与をしたとは認められないと判断しました。
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平成28年8月25日、民事法研究会から、「詳解遺産分割の理論と実務 」が出版されました。
法的論点や実務の運用を、裁判官、弁護士、税理士等の専門家によって執筆されています。
7章に区分されています。
1章は、遺産分割総論、2章は、遺言と遺産分割、3章は、遺産分割、4章は、遺産分割の手続、5章は、分割後の紛争、6章は、事例にみる遺産分割、7章は、遺言・遺産分割と税務となっております。
通読にするにしては分厚すぎるので、参考書的な利用になるのでしょう。
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判例タイムズNo1430号で紹介された大阪高裁平成27年10月6日決定です。
被相続人の家業である農業に従事したことを理由とする寄与分を、遺産総額の30%と定めた原審判を変更して、
農業に従事したこと以外の寄与を認めることができないことも考慮して、農地のみの評価額を30%と定めた事例
家事従事者の寄与分については、寄与者が受けるべき給与額を想定することが困難な場合には、家業の事業内容や規模、その収支状況、申立人が家業従事に至った経緯、従事の態様や期間、遺産形成の経緯、遺産の内容や額などを検討して、遺産の全部又は一部の一定割合を寄与分とすることが考えられるとされており、本判決はこのような場合の寄与について判断した事例の1つとして参考になります。
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