【離婚】 幼児教育・保育の無償化制度の開始を理由とする婚姻費用分担額減額(消極)
判タNo1479号で紹介された東京高裁令和元年11月12日決定です。
判タNo1479号で紹介された東京高裁令和元年11月12日決定です。
家庭の法と裁判2020年8月号で紹介された広島高裁令和元年11月27日決定です。
未成年者の父である抗告人が、未成年者の母である相手方に対し、和解離婚した際の和解条項に基づく未成年者の養育費の額を減額するよう求めた事案において、
抗告人が再婚し、再婚相手との間に子をもうけ、新たに扶養義務を負う者が生じたこと、
定年退職により収入が減少したこと、
再就職先を退職し収入がなくなったことはいずれも事情の変更にあたるとして、
養育費減額調停の申立て月から再就職先退職月までについては抗告人の再就職先での収入を総収入額と見て、それ以降について抗告人の年間支出予定額相当額を基礎収入額と見て、それぞれ養育費の額を変更(減額)するのが相当であるとした事例です。
元々の和解離婚では、令和3年×月まで月額8万円の養育費を支払うという内容でした。
平成30年10月に、養育費の減額調停申し立てをしました。
第1審は、結論として、月額4万円、月額6万円に変更しましたが、第2審は、結論として、月額3万円、月額2万円に減額して、過払い金については、調整を行いませんでした。
減額された場合には、過払い金の問題が発生しうるので、とくに権利者の側にたった場合には、依頼人に十分な説明をしておく必要がありますね。
家庭の法と裁判2020年8月号で紹介された最高裁令和2年1月23日決定です。
決定要旨は、婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権は消滅しないと判断しました。
理由については、次の通り述べています。
民法760条に基づく婚姻費用分担請求権は、夫婦の協議のほか、家事事件手続法別表第2の2項所定の婚姻費用の分担に関する処分についての家庭裁判所の審判により、その具体的な分担額が形成決定されるものである。
また、同条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定しており、婚姻費用の分担は、当事者が婚姻関係にあることを前提とするものであるから、婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合には、離婚時以後の分の費用につきその分担を同条により求める余地がないことは明らかである。
しかし、上記の場合に、婚姻関係のある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在せず、家庭裁判所は、過去に遡って婚姻費用の分担額を形成決定することができるのであるから、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解するのが相当である。このことは、当事者が婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の請求をすることができる場合であっても、異なるものではない。
考え方としては、3説あったようです。 ①消滅説、②財産分与請求権に転化するという説、③存続説。。。。
最高裁は、存続説を採用しました。
なお、本決定は、夫婦が離婚した後に、離婚時までの過去分の婚姻費用分担審判の申立てをすることの適否や、婚姻費用分担請求の始期については、その射程外であると解されています。
判例時報No2443号で紹介された東京高裁令和元年8月19日決定です。
離婚する際に、Y(元妻)や子ども3名が住んでいる住宅ローンとしてX(元夫)が月10万円を支払う、養育費は3人で月15万円として住宅ローンと差し引くという内容の公正証書を作成しました。
Xは再婚して子どもをもうけて、また、給料も下がったので、養育費減額の申し立てをしました。
第1審は、養育費の支払いを月10万円程度としました。住宅ローンと控除されるので、実際に支払われる養育費は0円です。
第2審は、Xの申し立てを却下しました。理由は、算定表で計算すると養育費は月7万8000円。現在でも、実質手取りが月5万円だと、算定表を下回ります。
養育費や婚姻費用の算定に際しては、実務上は、義務者が他の債務を負担している場合も、債務の支払いを養育費等の支払いに優先させることにつながり、子の福祉に反する結果になります。元妻子が居住している自宅の住宅ローンだとしても、当然のことです。
第1審の裁判官はその点の理解が欠けていたのではないかと思います。😠
判例時報No2430号で紹介された許可抗告事件の実情平成30年度です。
夫婦間の生活費や離婚後の養育費の金額については、家庭裁判所が平成15年に作成した算定表により判断されています。
現在の家裁実務は、算定表の範囲内(+-2万円)以内で、決めており、当事者の協議が成立しない場合でも、審判(裁判)に移行すれば、裁判官が算定表に基づいた金額を強制的に決めてしまいます。
夫婦間の生活費や離婚後の養育費の金額については、家庭裁判所が平成15年に作成した算定表により判断されています。
現在の家裁実務は、算定表の範囲内(+-2万円)以内で、決めており、当事者の協議が成立しない場合でも、審判(裁判)に移行すれば、裁判官が算定表に基づいた金額を強制的に決めてしまいます。
「家庭の法と裁判」No22号の研究です。
菊池絵里、住友隆行東京高裁判事が執筆された「研究 婚姻費用・養育費事件における実務上の問題ー家事抗告審の最近の実務から」は、参考になります。
判例時報第2412号で紹介された大阪高判平成30年10月11日です。
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