【離婚】 生活費

2021年2月19日 (金)

【離婚】 幼児教育・保育の無償化制度の開始を理由とする婚姻費用分担額減額(消極)

 判タNo1479号で紹介された東京高裁令和元年11月12日決定です。 

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(今治・玉川鈍川)
 令和元年10月1日から、子ども・子育て支援法の改正により、幼稚園、保育所、認定こども園等の幼児教育・保育施設を利用する3歳から5歳までの子どもたちの利用料が無償化されることになった。
 本件の長女が対象となる私立幼稚園の無償化の月額上限額は2万5700円であり、無償化の期間は満3歳から小学校入学前までの3年間である。2歳以下の子どもの場合や、通院送迎費、食材料費、行事費等は、原則として無償化の対象とならず、従来どおり保護者の負担となるが、2歳以下の子ども、副食費、預かり保育料等についても、子どもの数、所得額、保育の必要性等一定の要件を満たした場合には、無償化の対象となる場合がある。
 なお、この制度により保護者に支払われるべき費用については、市町村は、当該保護者に代わり、当該教育・保育施設に支払うことができるとされている。」
 東京高裁は、幼児教育の無償化は、子の監護者の経済的負担を軽減すること等により子の健全成長の実現を目的とする公的支援であり、私的な扶助を補助する性質を有するにすぎないから、幼児教育の無償化を理由として婚姻費用分担額を減額すべきではないと判示しました。

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2020年8月24日 (月)

【離婚】 養育費の事情変更と過払い金

 家庭の法と裁判2020年8月号で紹介された広島高裁令和元年11月27日決定です。

 未成年者の父である抗告人が、未成年者の母である相手方に対し、和解離婚した際の和解条項に基づく未成年者の養育費の額を減額するよう求めた事案において、

 抗告人が再婚し、再婚相手との間に子をもうけ、新たに扶養義務を負う者が生じたこと、

 定年退職により収入が減少したこと、

 再就職先を退職し収入がなくなったことはいずれも事情の変更にあたるとして、

 養育費減額調停の申立て月から再就職先退職月までについては抗告人の再就職先での収入を総収入額と見て、それ以降について抗告人の年間支出予定額相当額を基礎収入額と見て、それぞれ養育費の額を変更(減額)するのが相当であるとした事例です。

 元々の和解離婚では、令和3年×月まで月額8万円の養育費を支払うという内容でした。

 平成30年10月に、養育費の減額調停申し立てをしました。

 第1審は、結論として、月額4万円、月額6万円に変更しましたが、第2審は、結論として、月額3万円、月額2万円に減額して、過払い金については、調整を行いませんでした。

 減額された場合には、過払い金の問題が発生しうるので、とくに権利者の側にたった場合には、依頼人に十分な説明をしておく必要がありますね

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2020年8月23日 (日)

【離婚】婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の帰趨

 家庭の法と裁判2020年8月号で紹介された最高裁令和2年1月23日決定です。

 決定要旨は、婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権は消滅しないと判断しました。

 理由については、次の通り述べています。

 民法760条に基づく婚姻費用分担請求権は、夫婦の協議のほか、家事事件手続法別表第2の2項所定の婚姻費用の分担に関する処分についての家庭裁判所の審判により、その具体的な分担額が形成決定されるものである。

 また、同条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定しており、婚姻費用の分担は、当事者が婚姻関係にあることを前提とするものであるから、婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合には、離婚時以後の分の費用につきその分担を同条により求める余地がないことは明らかである。

 しかし、上記の場合に、婚姻関係のある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在せず、家庭裁判所は、過去に遡って婚姻費用の分担額を形成決定することができるのであるから、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解するのが相当である。このことは、当事者が婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の請求をすることができる場合であっても、異なるものではない。

 考え方としては、3説あったようです。 ①消滅説、②財産分与請求権に転化するという説、③存続説。。。。

 最高裁は、存続説を採用しました。

 なお、本決定は、夫婦が離婚した後に、離婚時までの過去分の婚姻費用分担審判の申立てをすることの適否や、婚姻費用分担請求の始期については、その射程外であると解されています。

 

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2020年7月20日 (月)

【離婚】 公正証書で定めた、住宅ローンの支払い+養育費の裁判例

 判例時報No2443号で紹介された東京高裁令和元年8月19日決定です。

 離婚する際に、Y(元妻)や子ども3名が住んでいる住宅ローンとしてX(元夫)が月10万円を支払う、養育費は3人で月15万円として住宅ローンと差し引くという内容の公正証書を作成しました。

 Xは再婚して子どもをもうけて、また、給料も下がったので、養育費減額の申し立てをしました。

 第1審は、養育費の支払いを月10万円程度としました。住宅ローンと控除されるので、実際に支払われる養育費は0円です。

 第2審は、Xの申し立てを却下しました。理由は、算定表で計算すると養育費は月7万8000円。現在でも、実質手取りが月5万円だと、算定表を下回ります。

 養育費や婚姻費用の算定に際しては、実務上は、義務者が他の債務を負担している場合も、債務の支払いを養育費等の支払いに優先させることにつながり、子の福祉に反する結果になります。元妻子が居住している自宅の住宅ローンだとしても、当然のことです。

 第1審の裁判官はその点の理解が欠けていたのではないかと思います。😠

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2020年3月 7日 (土)

【離婚】 過去10年分の養育費

 判例時報No2430号で紹介された許可抗告事件の実情平成30年度です。 

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 事案は、離婚の際の訴訟上の和解において子らが成年に達する月まで養育費の支払を約していた元夫による養育費減額の申立てについて、元妻の再婚及びその再婚相手と子らとの間の養子縁組等の事情変更を認めて、養子縁組の日に遡って元夫の養育費の支払い義務がないものと変更すべきものとした原決定の適否が問題となった事案です。
 平成14年12月に、XとYとが離婚して養育費を決めました。
 
 Xが平成16年7月に再婚して、子どもを養子縁組しました。
 Yは、平成19年4月から平成29年4月分の10年分の養育費を請求債権として、強制競売の申立てをしました。
 Xとしては、おそらく時効にかかっていない10年分の養育費の回収のために強制競売の申立てに及んだのだと思います。
 裁判所は、Xの再婚及び養子縁組による事情変更を理由に、縁組迄遡って、養育費を0円にする減額を認めました。
 再婚及び養子縁組が養育費減額の事情変更に当たるのは当然ですが、一般的には、調停申立てからとされることが多いように思われますが、裁判所は、養子縁組の日までさかのぼっております。
 最高裁平成30年6月28日決定は、本件事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は是認することができると判断しております。
 解説には、「父母が離婚し子が親権者の再婚相手と養子縁組をした場合は、共同親権者となった養親と実親が第一次的扶養義務者となるとされているが、その場合に親権者でない実親の扶養義務がどうなるのかは関係する諸事情を総合考慮した上での個別性の高い裁量判断になろう」と解説されています。

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2019年11月13日 (水)

【離婚】 いよいよ、養育費等の算定表が見直しへ  

 夫婦間の生活費や離婚後の養育費の金額については、家庭裁判所が平成15年に作成した算定表により判断されています。

 現在の家裁実務は、算定表の範囲内(+-2万円)以内で、決めており、当事者の協議が成立しない場合でも、審判(裁判)に移行すれば、裁判官が算定表に基づいた金額を強制的に決めてしまいます。

 

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 但し、主に生活費や離婚後の養育費を受け取る女性側からは、家裁の算定表は低すぎると非難を受けており、日本弁護士連合会も、低額な養育費が母子家庭の貧困の一因だとして、家裁の算定表よりも約1.5倍になる独自の日弁連算定表を公表しております。
 また、新しい法務大臣も、養育費問題については重点的に取り組む旨述べられました。
 そのような情勢のもとで、12日、最高裁が、新算定表を、来月23日に公表予定と発表しました。
 現時点では内容はよくわかりませんが、新聞報道によれば、現在の家裁の算定表よりも、月1~2万円増額されることが多くなるのではないかと言われています。
 生活費や離婚後の養育費については、近年の傾向としては、その保護の強化が図られています。未成熟子である子どもである以上、別れても、扶養義務から解放されわけではなく、また、現在の家裁の算定表の金額ですと、女性の側からみると、やはり安く感じます。
 
 生活費や養育費は、子どものために必要な費用ですので、家裁の算定表の範囲内であれば、気持ち良く支払ってくれた方がよいのではないかと思います。審判になれば、算定表の範囲で支払うよう命じられることがほとんどです。
 現在、係属中の婚姻費用分担や養育費は、新算定表が公表されるまで、暫く様子見になることが多くなるのではないかと思われます。 

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【離婚】 いよいよ、養育費等の算定表が見直しへ  

 夫婦間の生活費や離婚後の養育費の金額については、家庭裁判所が平成15年に作成した算定表により判断されています。

 現在の家裁実務は、算定表の範囲内(+-2万円)以内で、決めており、当事者の協議が成立しない場合でも、審判(裁判)に移行すれば、裁判官が算定表に基づいた金額を強制的に決めてしまいます。

 

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 但し、主に生活費や離婚後の養育費を受け取る女性側からは、家裁の算定表は低すぎると非難を受けており、日本弁護士連合会も、低額な養育費が母子家庭の貧困の一因だとして、家裁の算定表よりも約1.5倍になる独自の日弁連算定表を公表しております。
 また、新しい法務大臣も、養育費問題については重点的に取り組む旨述べられました。
 そのような情勢のもとで、12日、最高裁が、新算定表を、来月23日に公表予定と発表しました。
 現時点では内容はよくわかりませんが、新聞報道によれば、現在の家裁の算定表よりも、月1~2万円増額されることが多くなるのではないかと言われています。
 生活費や離婚後の養育費については、近年の傾向としては、その保護の強化が図られています。未成熟子である子どもである以上、別れても、扶養義務から解放されわけではなく、また、現在の家裁の算定表の金額ですと、女性の側からみると、やはり安く感じます。
 
 生活費や養育費は、子どものために必要な費用ですので、家裁の算定表の範囲内であれば、気持ち良く支払ってくれた方がよいのではないかと思います。審判になれば、算定表の範囲で支払うよう命じられることがほとんどです。
 現在、係属中の婚姻費用分担や養育費は、新算定表が公表されるまで、暫く様子見になることが多くなるのではないかと思われます。 

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2019年11月 2日 (土)

【離婚】 研究 婚姻費用・養育費事件における実務上の問題ー家事抗告審の最近の実務から 続き

 研究の続きです。

4 婚姻費用・養育費の増減額

(1)問題の所在

(2)事情の変更

① 婚姻費用

② 養育費

(3)裁判実務

① 事情変更の主張理由

② 標準算定表と事情変更

(4)最近の裁判例(前件調停又は前件審判の後に生じた家族の状況の変化)

① 義務者の再婚などが主張された場合

② 権利者の再婚相手との養子縁組などが主張された場合

(5)最近の裁判例

(6)東京高裁における審理

① 権利者の再婚相手と未成年者との養子縁組

② 前件調停等における取り決め額と標準算定表による額の乖離

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 いろいろ参考になります

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2019年11月 1日 (金)

【離婚】 研究 婚姻費用・養育費事件における実務上の問題ー家事抗告審の最近の実務から

 「家庭の法と裁判」No22号の研究です。

  菊池絵里、住友隆行東京高裁判事が執筆された「研究 婚姻費用・養育費事件における実務上の問題ー家事抗告審の最近の実務から」は、参考になります。

 

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(東京都現代美術館)
第2 婚姻費用分担・養育費事件における実務上の諸問題
1 婚姻費用分担・養育費事件
(1)婚姻費用分担審判の性質
(2)養育費審判の性質
2 婚姻費用の分担又は養育費の支払の始期
(1)家庭裁判所の定める始期・終期
  ※支払額とともに支払いの始期及び終期を定めることになる
(2)過去の扶養料請求と支払いの「始期」
① 判例
② 学説
③ 実務
(3)裁判実務
  ※一般的には、支払を求める調停(又は審判)の申立日に属する月を始期とする場合が多い。
(4)最近の裁判例
① 婚姻費用分担の始期
② 養育費支払の始期
③ 養育費変更の始期
④ 小括
  ※東京高裁における最近の裁判例においても、事案ごとの具体的な経緯を踏まえ、権利者が婚姻費用又は養育費の支払いを求める意思を義務者に表明した時期や、当該請求以前に遡って義務者に婚姻費用又は養育費の負担を認めるべき相当の事情等を検討しながら、当事者間の公平の観点から、婚姻費用又は養育費の負担の「始期」を定めており、これらの増減額においても同様に、事案毎の具体的な経緯等を踏まえ、当事者間の公平の観点から変更の「始期」を定めているものといえる。
3 賃金センサスの利用
(1)算定の基礎となる収入の認定
(2)最近の裁判例
① 義務者が失業休職中の例
② 義務者が稼働中であるが収入を明らかにしない例
③ 小括
  ※東京高裁における最近の裁判例においては、賃金センサスの利用について、収入を認定するために他に的確な資料が存在しないことや、賃金センサスを利用することに合理的な根拠があることなどを検討した上で、慎重な運用を行っているものといえる
(続き)
③ 養育費変更の始期

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2019年9月 7日 (土)

【離婚】 再婚した際に、連れ子を養子にした場合の生活費

 判例時報第2412号で紹介された大阪高判平成30年10月11日です。

 

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(赤穂城)
 解説がわかりやすいので、引用します(P24)。
 
 「一般には、権利者が再婚し、監護する未成年者が再婚相手と養子縁組をした場合、これが義務者(非監護親)の扶養義務にどのような影響を与えるのか。
 実務は、養子制度の目的や未成熟子との養子縁組には、子の養育を全面的に引き受けるという暗黙の合意が含まれていることなどから、養親が実親に優先して扶養義務を負うとしている。
 養親が無資力その他の理由で十分に扶養義務を履行できないときに、実親がその義務を負担することになる。そこでは、養親が扶養義務を履行できないときとはどのような場合をいうかが議論された。」
 これは、一般的な書籍でも解説されていることですね。
 「これに対して、本件の問題は、権利者(B・妻)が再婚し、監護する未成年者(D)が再婚相手(A・夫)と養子縁組をしたことにより、本来第一次的な扶養義務を負わなくなった前夫(実親・義務者)において、Bに対して、引き続きDの養育費のほか受験、入学費用等の支払いを履行してきた場合、これが第一次な扶養義務を負うに至ったA(養親)の婚姻費用分担義務にどのような影響を与えるかという問題である」
 
 ようは、連れ子Dは、Aの養子になったのに、実父が養育費等を支払っていたという事案ですね。再婚して養子縁組すれば養育費をストップしたり減額される方が多い中で、実父は支払いを続けてきたのですね。
 「原審がこの点について、前夫から養育費が支給されていることを考慮要素として、標準的算定方式を超える教育費を加算しないことにとどめたのに対して、
  抗告審では、さらに進めて、Aの未払いの婚姻費用中、Dの生活費を含む部分とこれを含まない部分との差額(Dの養育費相当額)は、前夫の履行した養育費によって既に賄われており、その間、Dの要扶養状態は解消されたと判断した」
 記録をみると、Dは、短大に入ったものの、授業料が工面できず、退学、再び、大学に入ったものの、入学金36万円のほか、1年間にかかる費用は約160万円のようです。前夫は、月に14万円のほか、受験費用として、120万円など、相応の養育費を支払っています。
 裁判所は、原審では、月28万円(21万円)の生活費の支払いを認めたものの、抗告審は、26万円(16万円)に留めました。
 生活費って、請求する方は小さく感じて、請求される方は大きく感じるものです。

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