【離婚】 離婚原因

2017年4月 8日 (土)

【離婚】 別居の期間が4年10か月余りと長期にわたっており、別居について被控訴人に一方的な責任があることを認める証拠はないものの、別居期間の長さ自体が婚姻関係の破たんを基礎づける事情といえるなどとして、控訴人の離婚請求を棄却した原判決を取り消し、離婚を認めた事例 東京高裁平成28年5月25日判決

 家庭の法と裁判NO9号です。

 第1審は、

 A(妻)が婚姻関係破綻の原因として主張する事実は、その存在自体が認められないか、存在するとしても、性格・考えの違いや感情・言葉の行き違いに端を発するもので、B(夫)のみが責めを負うものではなく、Aの言動にも問題があること、

 Bの同居中の言動には相互理解の姿勢に乏しいものがあったが、Bは真摯に反省し、Aとの修復を強く望んでいること、

 同居期間(約10年間)に比べて別居期間(約3年5ケ月)は短いなどとして、離婚請求等をいずれも棄却した。

 これに対し、控訴審は、別居期間(4年10か月間あまり)が長いというべきであるとした上で、別居後のBの言動等から、婚姻関係の修復にむけた意思を有していることに疑念を抱かせる事情がある等として、離婚請求を認容しました。

 別居期間について、第1審は、3年5ケ月は短いとして、第2審は、4年10か月は長いとしました。

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2017年3月 1日 (水)

【離婚】 別居期間が4年10か月余りにわたる夫婦について、婚姻関係が既に破綻しており回復の見込みがないと認めて離婚請求を認容した事例

 判例タイムズNo1432号で紹介された東京高裁平成28年5月25日判決です。

 第1審は、同居期間(約10年)に比べて別居期間(約3年5ケ月)は短いとして、離婚請求を棄却しましたが、

 第2審は、別居期間(4年10か月余り)は長いというべきであるとした上で、別居後のBの行動等から、婚姻関係の修復にむけた意思を有していることに疑念を抱かせる事情があるなどとして、離婚請求を認容しました。

 ご相談では、何年別居できれば離婚ができるのか?という質問をよく受けます。

 別居期間が長ければ長いほど、破綻認定は受けやすいですが、他方で、その間に一定の交流があった場合には、これは婚姻関係の破たんの認定を妨げる方向に働き得るものといえることから、十分な聞き取りが必要です。

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2014年12月31日 (水)

2人の未成熟子がいる夫婦のフランス国籍の妻が日本国籍の夫に対し婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚及び親権者の指定等を申し立てている事案において、妻は有責配偶者であるとして離婚請求を棄却した原判決を取消し、離婚請求及び親権者の指定等が認容された事例 東京高裁平成26年6月12日判決

 第2審判決は、控訴人が有責配偶者でありながら、離婚を認めました。

 第2審判決は、これまで有責配偶者からの離婚請求が否定されてきた実質的な理由の1つには、一家の収入を支えている夫が妻以外の女性と不貞関係に及んで別居状態となり、そのような身勝手な夫からの離婚請求を安易に認めると、残された妻子が安定的な収入を断たれて経済的に困窮するなど、著しく社会正義に反する結果となるため、そのような事態を回避するという目的があったものとの理解を前提として、

 本件では、既に婚姻関係は破綻しており、妻の不倫が認められるとはいえ、夫の無理解がそのような妻の不倫の引き金になっており、必ずしも妻だけに責任があるわけではないこと、

 妻は、働きながら未成年者らの養育監護をしていく覚悟があり、現に養育監護の状況等に特段の問題はなく、離婚を認めたとしても未成年者らの福祉が殊更に害されるものとは認めがたいこと、

 仮に離婚を認めても夫が酷な状態に置かれるわけでもないことなどを考慮して、

 有責配偶者である妻からの離婚請求を認容しても著しく社会正義に反する結果とはならないと判断して、第1審判決を取り消しました。

 どうなんでしょう?

 昭和62年最高裁判決の3要件のうち、少なくとも、相当長期間の別居期間、未成熟子がいないことの2要件は充足しておりません・・・・ 

 上告受理申立てをされていますが、最高裁は何らかの判断を示すべきでしょう。 

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2014年12月30日 (火)

【離婚】 2人の未成熟子がいる夫婦のフランス国籍の妻が日本国籍の夫に対し婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚及び親権者の指定等を申し立てている事案において、妻は有責配偶者であるとして離婚請求を棄却した原判決を取消し、離婚請求及び親権者の指定等が認容された事例 東京高裁平成26年6月12日判決

 判例時報No2237号で紹介された東京高裁平成26年6月12日判決です。

 第1審は、

 控訴人はフランス国籍を有する者であるが、被控訴人は日本国籍を有し、日本に常居所を有する者と認められるので、法の適用に関する通則法27条但し書きにより、本件の準拠法は日本法となるとした上で、

 控訴人と被控訴人の婚姻関係は、控訴人が被控訴人に離婚話を切り出し、未成年者らを連れて一方的に家を出るまでは、多少のいざこざはあったものの、家族旅行にいくなど円満に推移していたものであり、

 控訴人が離婚話を切り出し、まもなく別居したのは、控訴人が他の男性との生活を望んだからであって、別居期間は1年半余にすぎず、控訴人がその行動を改めさえすれば夫婦関係は修復される可能性はあるから、婚姻関係は未だに破綻していないと認定

 仮に、控訴人の離婚意思が強固であり、現段階においては控訴人と被控訴人の婚姻関係が破綻しているとしても、その原因は、控訴人が他の男性との生活を望んだからであることは明らかであるから、控訴人の離婚請求は、有責配偶者からの離婚請求であって、信義誠実の原則に反し許されないと判断して、控訴人の請求を棄却しました。

 ところが、第2審は、第1審判決を取り消しました。 

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2012年6月26日 (火)

【離婚】 重度の障害を負う成人の子の介護をしなければならないことなどを理由に、有責配偶者からの離婚請求が信義則に反し許されないとされた事例 高松高裁平成22年11月26日判決

 判例タイムズNo1370(7月1日)号で紹介された高松高裁平成22年11月26日判決です。

 第1審は、夫の離婚請求を認め、反対に、第2審は、第1審と異なり、夫の離婚請求を否定しました。

 第2審の判決の概要(判タP199)は以下のとおりです。

 「本判決は、1審と基本的に同じ事実を認定し、かつ同じく上記最高裁大法廷判決の枠組みの中で判断するものとした上で、別居期間(約7年)がXYの年齢や同居期間約19年と比較してそれほど長いものでないことを指摘し、

 複数の障害により24時間介護が必要な長女がおり、長女は未成熟子又はこれに準じるものというべきであること

 XからYに対して長女の介護に関し上記1審で認定したものと同様の申出があるものの、これまでYとともに長女の介護を行ってきたYの母の年齢からすれば、近い将来、長女の介護を行うことが困難になることが予想され、第三者に賃金を支払って長女の介護を行わなければならない事態も多分に想定されることからすると、従前の婚姻費用額よりも多額の生活費が必要になることも考えられること

 Xの提案が信用できるものであるとしても、時の経過によって、YとX及び長女を取り巻く環境の変化が生じること、Xの提案内容が永続的にその実現を保障する手立ては講じられていないこと

 を考慮すると、Xが、離婚後も長女の父親として扶養する義務を負うとしても、将来的にXとYの離婚により、Yが経済的に苛酷な状況に置かれる可能性を否定することはできない。」

 障害者の場合には、未成熟子に準じた扱いをうけるために、有責配偶者は離婚に際して一層の配慮を行う必要がありそうです。

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2009年6月 1日 (月)

【離婚】 有責配偶者からの離婚請求が棄却された事例 東京高判平成20年5月14日

 家庭裁判月報平成21年5月第61巻No5で紹介されている裁判例です。

 裁判要旨は、以下のとおりです。

 有責配偶者である夫からの離婚請求につき、

 別居期間が15年以上経過し、

 当事者間の3人の子はいずれも成年に達しており、

 夫婦間の婚姻関係は既に破綻しているが、

 妻は夫からの婚姻費用分担金の給付を受けることができなくなると経済的な窮境に陥り、罹患する疾病に対する十分な治療を受けることすら危ぶまれる状況になることが容易に予想されるとともに、

 長男については、身体的障害及びその成育状況に照らすと後見的配慮が必要と考えられ、夫の長男に対する態度からすると、離婚請求が認容されれば、妻が独力で長男の援助を行わなければならず、妻を更に経済的・精神的窮状へ追いやることになる事情の下においては、

 離婚請求を認容することは、妻を精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態におくことになり、著しく社会正義に反し許されない。

 原審の東京家裁では、慰謝料500万円、扶養としての意味での財産分与504万円、合計1004万円の支払いを認めて、離婚を認容しています。

 夫は、有責配偶者とされていますが、浮気や暴力があるというわけではなく、嫁姑の問題や長男に対する冷たい姿勢が原因で破綻した事案です。

 夫は、高裁では、1204万8000円の支払いを約束しています。

 また、夫と長男との関係は冷え切っており、離婚の有無にかかわりなく、妻が長男の援助を行わざるをえない状態です。

 これ以上、夫に何を要求しているでしょうか?

 釈然としない判決です。

 1204万円は、現在支払っている婚姻費用7年分以上です。

 他方で、妻も得たのは、結局、婚姻費用の毎月14万円の支払いだけです。

 最高裁に上告受理申立されたようですが、不受理で確定されています。

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2009年3月 1日 (日)

【離婚】 有責配偶者からの離婚請求

 離婚のご相談中でも、不貞行為などが絡む有責配偶者からの離婚請求は、よくご相談をうける場合の1つです。

 この場合には、離婚が認められるのだろうかということが、相談の骨格となります。

 有責配偶者からの離婚請求については、夫婦関係が破綻していても、非有責配偶者にとっては踏んだりけったりの結果となることから、昭和27年の最高裁判例は否定していました。

 しかし、昭和62年9月2日の大法廷判決は、条件付の積極的破綻し主義に転じました。

 昭和62年の最高裁判決は、高橋朋子東海大学教授によれば、3つの骨格に分析されており、特に重要な(2)、(3)は以下のとおりになっています。

 (2)離婚請求がその事由につき専ら責任のある有責配偶者からされた場合において、請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断するに当たっては、有責配偶者の責任の態様・程度を考慮すべきであるが、相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情、離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態、及び、夫婦間の子、殊に未成熟子の監護・教育・福祉の状況別居後に形成された生活関係、たとえば夫婦の一方又は双方が既に内縁関係を形成されている場合にはその相手方や子らの状況等が斟酌されなければならず、時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮されなければならない。

(3)有責配偶者からされた離婚請求であっても、①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、②その間に未成熟の子が存在しない場合には、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない

 この最高裁判例を前提に、このような相談があれば、同居期間や、小学生の子どもがいるような事案だと、離婚は難しいねえというアドバイスをしています。

 高橋教授によれば、最高裁昭和62年判決以降、前述の①~③を全て充足している昭和62年11月、昭和63年2月、昭和63年4月、昭和63年12月の各最高裁判決は、離婚を認めています。

 昭和63年12月判決は、別居期間10年で離婚を認め、平成元年3月判決は、別居期間8年余を長期間を認めず棄却しました。

 平成2年11月判決は、平成元年3月判決とは異なり、別居約7年半で離婚を認めました。

 平成6年判決は、(2)を用いることで、別居期間は14年と長いものの未成熟子が存在する事案で、離婚を認めました。

 平成16年11月判決は、原審が①~③の要件を全く充足していないにもかかわらず離婚を認めた事案について、(3)を示して、原審の判断を破棄しました。

 平成2年11月判決以降、①~③の要件を部分的にしか充足しない案件について、(3)を用いて離婚を否定するものと、(2)を用いて離婚を認める、「2重基準」状態になっていることを、高橋教授は指摘されています。

 有責配偶者からの離婚請求は、相手方配偶者が離婚を拒めば難しいが、それでも、①~③の要件を部分的にしか充足しない案件について、離婚を認めているケースもあることから、だめもとでやってみる価値はあるかもしれません。

 別居期間の長さについては、福岡若手弁護士のブログに参考になる記事がのっていました。

 

 

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2009年2月28日 (土)

【離婚】 離婚原因としての精神病

 家族法判例百選(第7版)(2008年10月)で紹介されている最高裁判例です。

 統合失調症をわずらっている妻Aに対して、Xが離婚提訴した事案です。

 妻Aの実父であるYが、離婚を認めた原審の判断に対して、病者の今後の療養についての具体的方途を講じ前途に見込みのついた上でなければ離婚請求は認められないとして、上告した事案です。

 最高裁昭和43年11月24日は、

 ①Aの実家は、Xが支出しなければAの療養費に事欠くような資産状態ではないこと

 ②Xは、Aのために十分な療養費を支出できる程に生活に余裕はないにもかかわらず、Aの過去の療養費については、昭和40年4月4日Yとの間でAが発病した昭和33年4月6日以降の入院費、治療費および雑費としてYに分割して支払う旨の示談をして、即日15万円を支払い、残額も昭和41年1月末日まdねお間に約定どおり全額支払っていること

 ③将来の療養費についても、原審の和解の際に自己の資力で可能な範囲の支払いをなす意思があることを表明していること

 ④XとAとの間の長女BはXが出生当時から引続き養育していること

 から、離婚障害事由は存在しないと判断しました。 

 「精神病」について広く判断されると、離婚障害事由の不存在が問題になってしまうことから、裁判例は、厳格に判断されているようです。

 時折、精神病ではありませんが、「人格障害」のある方が当事者の一方におられることがあり、まれに、他方当事者だけではなく代理人に対して攻撃してくることもあるため、対応に苦慮させられることがあります。

 冷静に対応すれば、相手が落ち着くこともありますが、お一人で話しながら次第に興奮される方もおられます。

 面談・架電禁止の仮処分を申し立てたことは、1回しかありませんでしたが、審尋以降も、大変でした。coldsweats01

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2009年2月23日 (月)

【離婚】 別居から3年3ヶ月の夫婦につき、妻のうつ病が治癒し、あるいは妻の病状についての夫の理解が深まれば子人関係は改善することも期待でき、いまだ破綻しているとまではいえないと判断された事例(名古屋高判平成20年4月8日)

  夫婦関係の「破綻」について、家裁と高裁とで結論が異なったケースです(家裁裁判月報平成21年2月第61巻第2号)。

 高裁は、別居から3年3か月の夫婦につき、夫が離婚を考える原因となった妻の言動は、うつ病の影響を受けた可能性があり、別居後4ヶ月ほどで申し立てられた調停や訴訟の機会を除くとほとんど話し合いの場を持つことができなかった夫婦にとって、当事者間の婚姻関係は破綻に瀕しているが、妻のうつ病が治癒し、あるいは妻の病状についての夫の理解が深まれば婚姻関係は改善することも期待でき、現時点ではいまだ破綻しているとまではいえないと判断されました。

 家裁では、

 ①別居期間は約2年半を越え、ほとんど交流がないこと、

 ②被告(妻)には原告(夫)との関係修復への強いものがあるが、その内容は、原告の変化を期待するに過ぎないものであること、

 ③別居当時の被告の言動は、うつ病の強い影響を受けていたものとはいえ、原告はそれにより関係修復の意欲を失っていること、

 ④被告にも、「良い嫁、かわいい嫁」を過剰に意識した相応の原因があること

 から、原告と被告との夫婦関係が破綻していると認定しています。

 これに対して、高裁は、

 ①被告の言動については、うつ病に罹患しながらいまだ治療を受けていないか、あるいは治療を開始したばかりのことであり、この時期の被告の原告に対する感情的、攻撃的な言動は、うつ病の影響を受けたものであること

 ②うつ病が治癒すれば、関係も改善され、婚姻関係は円満に修復される可能性もあること

 ③原告は、被告からうつ病に罹患している旨を聞かされていながらこの治療に協力したり、その治癒を待つことなく別居を開始し、現在まで、交流をさけており、いささか感情に流された行動であること

 などを理由に、夫婦関係は破綻していないと判断しました。

 事実認定の問題ですから、家裁と高裁のどちらの判断が正当なのかは、記録を精査しないとわかりませんが、個人的には、裁判まで発展したこの夫婦が、本当にやり直しができるのでしょうか?

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