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2020年8月22日 (土)

高齢者の遺言 エトセトラ

 高齢者の遺言書については、被相続人である高齢者が生存中から、推定相続人がその内容を何らかのキッカケで知り、トラブルになることもあります。また、死亡後に、1人の相続人が高齢者から遺言書を預かっていたと称して、やはりその内容をめぐり、トラブルになることが少なくありません。

 遺言能力に問題がない限り、本来、親がだれに自分の財産を渡そうと自由なはずです。しかしながら、遺留分程度の請求しかできなくなることについて、大きな不満を抱き、親がこのような不公平な遺言書を作成するはずはないとして、遺言能力に疑問を呈することもあります。

 2020年8月号の家庭の法と裁判では、特集として高齢者を取り巻く諸問題を取り扱い、その中で、高齢者の法的問題ー意思能力が問題となる前にという論文で、遺言能力に言及されていたのは参考になります。

 「遺言能力について,近時の裁判例では、遺言能力とは、遺言事項を具体的に決定し、その法律効果を弁識するに必要な判断能力すなわち意思能力と解されるところ、このような遺言能力の欠如について、遺言時を基準として、当該遺言の意味内容を理解する能力を欠如しているかどうか、すなわち、本件各対象遺言の各時点における遺言者である被相続人の病状、精神状態等、遺言の内容、遺言をするに至った経緯等を踏まえ、遺言能力を喪失するに至っていたかどうかを判断することとなる旨判示されたものがある」

 「遺言能力の有無が裁判で争われた場合、医師の医学的判断を尊重しつつも、最終的には裁判官の法的判断により決められる。医師が遺言者を認知症と診断していても、それだけで一律に遺言能力が否定されるわけではない。」「認知症の症状の進行は人それぞれであるため、事案ごとに遺言能力の有無を判断する必要がある。」

 「(高齢者の病状、精神状態等)具体的には、病院からは診療録(カルテ)を、介護事業者からはサービス提供記録(介護日誌)や居宅サービス計画書を、居住市町村からは介護認定のための認定調査票を集め、遺言者の日記やメモ、担当医師、立会証人、同居者、介護事業関係者から事情聴取するなどである」

 「(遺言の内容)遺言の内容の複雑性に応じて、遺言者に当該遺言を理解できる能力があったか否かを検討する必要がある」

 「(遺言をするに至った経緯)近時の裁判例では、遺言内容の複雑さ、動機の有無、遺言作成の経緯、遺言者が自由に意思決定できたか否かという点も遺言能力の有無を判断する要素として重視しているものが増えてきている。」

  解説者はアドバイスとして、「公正証書遺言を作成するだけで安心するのではなく、遺言書作成時点で判断能力があることを医師に診断してもらう、遺言書作成当時の状況を動画で残すなど、様々な方法を使って遺言能力に関する証拠を残すことを心掛ける必要がある」と解説されています。

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