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2020年8月

2020年8月24日 (月)

【離婚】 養育費の事情変更と過払い金

 家庭の法と裁判2020年8月号で紹介された広島高裁令和元年11月27日決定です。

 未成年者の父である抗告人が、未成年者の母である相手方に対し、和解離婚した際の和解条項に基づく未成年者の養育費の額を減額するよう求めた事案において、

 抗告人が再婚し、再婚相手との間に子をもうけ、新たに扶養義務を負う者が生じたこと、

 定年退職により収入が減少したこと、

 再就職先を退職し収入がなくなったことはいずれも事情の変更にあたるとして、

 養育費減額調停の申立て月から再就職先退職月までについては抗告人の再就職先での収入を総収入額と見て、それ以降について抗告人の年間支出予定額相当額を基礎収入額と見て、それぞれ養育費の額を変更(減額)するのが相当であるとした事例です。

 元々の和解離婚では、令和3年×月まで月額8万円の養育費を支払うという内容でした。

 平成30年10月に、養育費の減額調停申し立てをしました。

 第1審は、結論として、月額4万円、月額6万円に変更しましたが、第2審は、結論として、月額3万円、月額2万円に減額して、過払い金については、調整を行いませんでした。

 減額された場合には、過払い金の問題が発生しうるので、とくに権利者の側にたった場合には、依頼人に十分な説明をしておく必要がありますね

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2020年8月23日 (日)

【離婚】婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の帰趨

 家庭の法と裁判2020年8月号で紹介された最高裁令和2年1月23日決定です。

 決定要旨は、婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権は消滅しないと判断しました。

 理由については、次の通り述べています。

 民法760条に基づく婚姻費用分担請求権は、夫婦の協議のほか、家事事件手続法別表第2の2項所定の婚姻費用の分担に関する処分についての家庭裁判所の審判により、その具体的な分担額が形成決定されるものである。

 また、同条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定しており、婚姻費用の分担は、当事者が婚姻関係にあることを前提とするものであるから、婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合には、離婚時以後の分の費用につきその分担を同条により求める余地がないことは明らかである。

 しかし、上記の場合に、婚姻関係のある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在せず、家庭裁判所は、過去に遡って婚姻費用の分担額を形成決定することができるのであるから、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解するのが相当である。このことは、当事者が婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の請求をすることができる場合であっても、異なるものではない。

 考え方としては、3説あったようです。 ①消滅説、②財産分与請求権に転化するという説、③存続説。。。。

 最高裁は、存続説を採用しました。

 なお、本決定は、夫婦が離婚した後に、離婚時までの過去分の婚姻費用分担審判の申立てをすることの適否や、婚姻費用分担請求の始期については、その射程外であると解されています。

 

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2020年8月22日 (土)

高齢者の遺言 エトセトラ

 高齢者の遺言書については、被相続人である高齢者が生存中から、推定相続人がその内容を何らかのキッカケで知り、トラブルになることもあります。また、死亡後に、1人の相続人が高齢者から遺言書を預かっていたと称して、やはりその内容をめぐり、トラブルになることが少なくありません。

 遺言能力に問題がない限り、本来、親がだれに自分の財産を渡そうと自由なはずです。しかしながら、遺留分程度の請求しかできなくなることについて、大きな不満を抱き、親がこのような不公平な遺言書を作成するはずはないとして、遺言能力に疑問を呈することもあります。

 2020年8月号の家庭の法と裁判では、特集として高齢者を取り巻く諸問題を取り扱い、その中で、高齢者の法的問題ー意思能力が問題となる前にという論文で、遺言能力に言及されていたのは参考になります。

 「遺言能力について,近時の裁判例では、遺言能力とは、遺言事項を具体的に決定し、その法律効果を弁識するに必要な判断能力すなわち意思能力と解されるところ、このような遺言能力の欠如について、遺言時を基準として、当該遺言の意味内容を理解する能力を欠如しているかどうか、すなわち、本件各対象遺言の各時点における遺言者である被相続人の病状、精神状態等、遺言の内容、遺言をするに至った経緯等を踏まえ、遺言能力を喪失するに至っていたかどうかを判断することとなる旨判示されたものがある」

 「遺言能力の有無が裁判で争われた場合、医師の医学的判断を尊重しつつも、最終的には裁判官の法的判断により決められる。医師が遺言者を認知症と診断していても、それだけで一律に遺言能力が否定されるわけではない。」「認知症の症状の進行は人それぞれであるため、事案ごとに遺言能力の有無を判断する必要がある。」

 「(高齢者の病状、精神状態等)具体的には、病院からは診療録(カルテ)を、介護事業者からはサービス提供記録(介護日誌)や居宅サービス計画書を、居住市町村からは介護認定のための認定調査票を集め、遺言者の日記やメモ、担当医師、立会証人、同居者、介護事業関係者から事情聴取するなどである」

 「(遺言の内容)遺言の内容の複雑性に応じて、遺言者に当該遺言を理解できる能力があったか否かを検討する必要がある」

 「(遺言をするに至った経緯)近時の裁判例では、遺言内容の複雑さ、動機の有無、遺言作成の経緯、遺言者が自由に意思決定できたか否かという点も遺言能力の有無を判断する要素として重視しているものが増えてきている。」

  解説者はアドバイスとして、「公正証書遺言を作成するだけで安心するのではなく、遺言書作成時点で判断能力があることを医師に診断してもらう、遺言書作成当時の状況を動画で残すなど、様々な方法を使って遺言能力に関する証拠を残すことを心掛ける必要がある」と解説されています。

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2020年8月18日 (火)

【相続】 遺産分割協議後に発見された遺産の分配!?

 判例時報No2446号で紹介された大阪高裁令和元年7月17日付決定です。

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 抗告人(原審申立人)が、相手方(原審相手方)に対して、遺産分割協議成立後に発見された遺産の分割を求めた事案において、

 先行する遺産分割が法定相続分と異なる不均衡なものであったことを考慮し、本件の遺産を全て抗告人に取得させるべきとした抗告人の主張を排斥し、

 先行する遺産分割の際に各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても、そのことを是認していたというべきであり、その後の清算は予定されていなかったとして、本件の遺産を法定相続分により分割した原審の判断を是認し、抗告を棄却した事例です。

 要は、遺産分割協議後に遺産が判明したため、結果として一部分割が先行した事案において、先行協議の意思解釈により残余遺産のみを法定相続分に従って分割することで足りると判断したものです。

 例えば、仮に、遺産が100万円あり、法定相続分が同一の相続人Aと相続人Bとが、80万円と20万円で分割しました。ところが、後から、遺産50万円が出てきた場合に、それをどのように分割すべきかということです。

 裁判所は、後からの50万円は、AとBとで、25万円ずつ分けるべきと判断したわけです。

 もちろん、相続人Bは、本来遺産は、150万円の半分、つまり75万円ずつでわけるべきところ、Aは80万円を取得しているから、Bは残りの50万円は全部取得すべきだと主張したのですが、認められませんでした。

 これって、間違って、Bさんが主張したようなアドバイスをしてしまう可能性もありますよね。

 Kimg4482  くわばら くわばら

   

 

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