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2020年7月19日 (日)

【子ども】 研究 子の監護権者指定・引渡しをめぐる最近の裁判例について 山岸秀彬東京地裁判事

 家庭の法と裁判No26で掲載された研究論文です。

 「子の監護権者指定・引渡しをめぐる最近の裁判例を紹介してきたが、改めて裁判例の傾向をまとめると、次のとおりである。

 すなわち、裁判例は、子の出生以来の主たる監護者が父母のいずれであったかを重視しており、主たる監護者による監護態勢に問題がなければその者による子の監護を継続することが子の福祉に適うものとして、主たる監護者が監護者として指定され、主たる監護者による子の引渡しの申し立てが認められる傾向にある。

 逆に、主たる監護者でない方の親が監護者として指定された事案は、子の利益の観点から当該親を監護者とすべき事情があった場合であるといえる」

 「このように見てくると、裁判例が、子の主たる監護者がいずれにあつたかを重視しているといっても、監護者の判断は、父母が子と過ごしてきた時間を数量的に評価して行われるものではなく、主たる監護者と認められる親が子のニーズにこたえ、その親と子との愛着関係が十分に形成されているかという観点から、家庭裁判所調査官による調査等も踏まえて分析・評価がされているものと考えられる。

 この点、前掲【16】は、(数量的にみると)母が主たる監護者であったと言いうるものの、愛着関係という点では父母間に圧倒的な差はないという評価の下で、他の考慮要素を含めて検討し、結論として父を監護者として定めたものであり、これまで述べてきたところに沿う判断ということができるように思われる。」

 「松本論文が『主たる監護者であった者以外の者を監護者とした事例では、その他に重視すべき事情が存在するものであった』としているとおり、主たる監護者でない方の親が監護者として指定された事案は、別居後に主たる監護者が精神疾患を抱えて監護意欲が著しく低下したり、主たる監護者が子の福祉を害する活動をしている団体の活動に熱心に参加していたりするなど、子の利益の観点から主たる監護者でない方の親を監護者として指定すべき事情があった事案であると考えられる」

 → 田舎弁護士は、家庭の案件を取り扱うことが多く、親権や監護者をめぐる問題もしばしば取り扱います。最新の裁判官の議論を勉強しておく必要があります。

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