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2020年6月

2020年6月28日 (日)

【面会交流】 電子メールやラインを用いた連絡

 判例時報N02442号で紹介された東京高裁令和1年8月23日決定です。

 離婚時の和解条項は、毎月1回の面会交流が定められていたのですが、平成28年4月を最後に面会交流が実施されなくなっているという事案です。

 父親の言動に大きな問題があり、子どもたちに嫌われてしまっているという事案のようです。

 なお、父親も母親も、医師のようです。

 原審は、父親(抗告人)と3人の子らとの直接交流を認めず、手紙の送付等の間接交流のみを認めましたが、

 抗告審は、原審を基本的には維持しつつ、母親から父親に対して子らの電子メールのアドレス及びLINEのIDを通知すべきことなどは認め、その限度で、原審を変更しました。

 平成28年4月の面会交流についても、「あえなくなったら、寂しくて自殺しちゃうかもしれないよ。自殺してほしい。死んで欲しいと思う」を言ったようです。医師なのに、なんでそんな不適切発言したんでしょう。

 

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2020年6月23日 (火)

【親子】 老親に会えない子どもたち

 子どもたちの関係が悪いことから、老親を看ている子どもが他方の子どもの老親との面会交流を妨害しているケースのご相談は、都会、地方を問わず、最近は、相談件数としては増えているように思います。

 このようなケースは、まずは、家裁の親族間調整の調停を申し立てることを勧めています。親族間でのトラブルは、まずは、できるだけ話し合いで解決すべきであると考えるからです。

 事案はダイブ異なりますが、駆け出し弁護士のころ、(子どもに会いたくない)老親からの依頼で受けたことがあり、相手方である子どもさんに老親の意向を伝えたことがあります。ただ、この事案は、あることがきっかけで、老親と子どもさんが急速に仲直りをされて、相手方であったはずの子どもさんから、弁護士費用を請求して下さいと言われて、さすがに結構ですと言って、事件を終了させたことがあります。

 数万円の実費を立て替えていましたが、回収不能となりました。

 血縁のある親子の関係は、他人からはうかがい知ることはできません。

 それでは話を戻します。

 調停をしても、面会が実現できない場合には、下の横浜地裁の事案のように、面会妨害禁止の仮処分を申し立てるというのが、一般的ではないでしょうか。

 ただし、背景には、様々なものがあります。親子関係の心情に基づくもの、親の遺産トラブルの前哨戦のものなど・・・・

 駆け出し弁護士のころは、表層的なもののみで、動いてしまうこともありますが、注意が必要です

【事件番号】 横浜地方裁判所決定/平成30年(モ)第4031号
【判決日付】 平成30年7月20日
【判示事項】 子と施設(老人ホーム)に入居する両親との面会の妨害を禁止する仮処分決定に対する異議申立てについて、原決定を認可した事例
【掲載誌】  判例時報2396号30頁


       主   文
 一 上記当事者間の横浜地方裁判所平成三〇年(ヨ)第二四四号面会妨害禁止仮処分命令申立事件について、同裁判所が平成三〇年六月二七日にした仮処分決定を認可する。
 二 申立費用中、本件保全異議申立以後のもの及び本件保全異議申立以前の部分のうち、債権者と債務者との間に生じたものは、全て債務者の負担とする。
       理   由

第一 申立ての趣旨
 一 上記当事者間の横浜地方裁判所平成三〇年(ヨ)第二四四号面会妨害禁止仮処分命令申立事件について、同裁判所が平成三〇年六月二七日にした仮処分決定を取り消す。
 二 債権者の本件仮処分命令申立てを却下する。
 三 申立費用は債権者の負担とする。
第二 事案の概要等
 一 事案の概要〈編注・本誌では証拠の表示は省略ないし割愛します〉
 本件は、債権者が、債権者及び債務者の父であるA及び同母であるB(以下「A」及び「B」を合わせて「両親」という。)が入居している老人ホーム及び債務者が債権者と両親との面会を妨害していると主張し、人格権を被保全権利として、債務者及び同老人ホームを経営する会社は債権者が両親と面会することを妨害してはならないとの仮処分命令を申し立てたところ、横浜地方裁判所が、債務者及び前記会社のため各金二万円の担保を立てさせて認容する旨の決定をしたことから、債務者がこれを不服として保全異議を申し立てた事案である。
 二 主要な争点及び当事者の主張
 本件の主要な争点は、被保全権利の存否及び保全の必要性である。
 債権者の主張は、「仮処分申立書」及び平成三〇年七月九日付け「答弁書」記載のとおりであるので、これらを引用するが、要するに、被保全権利については、債務者は両親を連れ去り、同人らが入居している老人ホームに対し、同人らの所在を明らかにしないように指示をするなどして、債権者が両親と面会する権利を著しく侵害しているところ、債権者には、人格権等により導かれる、親族である両親との面談を不当に妨害されないという地位に基づく妨害排除請求権及び妨害予防請求権が存すると主張する。
 また、本案判決の確定を待っていては、債務者の妨害により、債権者の損害が拡大し、回復困難となる危険性が高いことから、保全の必要性が認められる旨主張するものである。
 債務者の主張は、同年六月二二日付け「答弁書」及び「保全異議申立書」記載のとおりであるので、これらを引用するが、要するに、債務者は、両親から懇願されたため両親を横浜に連れてきたのであり、連れ去りの事実はなく、また、債務者は、両親が債権者との面会を拒絶していることから、その意向に沿って施設にその旨伝えているにすぎず、面会妨害の事実はなく、債権者に対する権利侵害はないと主張し、さらに、両親は平穏な生活を送っており、債権者が施設に来ることに怯えている状態にあり、保全の必要性も認められないなどと主張するものである。
第三 当裁判所の判断
 一 前提事実
 当事者間に争いのない事実及び一件記録により容易に認められる事実は以下のとおりである。
 (1) A(昭和六年××月××日生まれ、住所・横浜市《番地等略》)は債権者及び債務者の実父、B(昭和五年××月××日生まれ、住所・横浜市《番地等略》)は債権者及び債務者の実母であり、債務者が同人らの長男(兄)、債権者は長女(妹)である。
 (2) Aは平成二五年九月一〇日から通院している医院において、アルツハイマー型認知症と診断されている。また、Aは、介護認定審査会において、要介護1に該当すると判定され、平成二九年四月二七日付けで同通知を受けた。
 Bは、平成二七年一二月二一日にアルツハイマー型認知症との診断を受けた。また、Bは、平成二九年四月二五日、前記審査会において、要介護状態の区分を要介護2に変更する旨判定され、翌二六日付けで同通知を受けた。
 (3) 両親は、債権者の住居の近隣である福岡県小郡市内のA所有の自宅に居住していたところ、同年六月二〇日、債務者が両親を連れて同自宅から横浜市に移動したことにより、両親は同自宅を退去した。その際、債権者に対し、事前に両親が退去する旨の連絡はなかった。
 (4) 同年九月二九日頃、債権者は債務者及び両親を相手方として横浜家庭裁判所に、親族間の紛争調整の調停申立てをした。
 同調停の第一回調停期日(同年一一月八日)に債務者及び両親は出頭しなかったため、家庭裁判所調査官が同人らに対し出頭勧告書を送付し、債務者に対し調査を実施するので同月二〇日に裁判所へ出頭することを求めたとろ、同日、債務者は同調査官に対し、調停には一切出席しないこと、両親の希望で債務者が両親の介護の責任を持っていること、債務者が両親に代理して両親の回答をしていること、調停には応じる考えはないことなどを電話で伝えた。
 前記調停は、同年一二月六日に第二回期日が開かれたが、債務者及び両親は出頭せず、不成立となった。
 (5) 債権者は、同年一一月頃、地域包括支援センターに問い合わせをしたところ、両親は施設に入所中であるが、債務者から施設名を教えないように言われている旨の回答を受けた。
 (6) 債権者は、同年一二月頃、横浜家庭裁判所に対し、A及びBについて、それぞれ成年後見開始の審判を申し立てた。
 家庭裁判所調査官による親族調査の際に、債務者は、Aの所在については明らかにしたくないとの意向を示した。また、同調査官が両親が入居していると想定される施設へ問い合わせをしても、入居しているか否かについて回答を得られなかった。
 上記両審判申立事件について、現在に至るまで精神鑑定を実施して判断能力の程度を判定することができていない。
 (7) 両親は、平成二九年六月二〇日以降、債務者の住居で生活をしていたが、債務者が包括支援センターに相談をするなどして、同年一〇月一四日頃から老人ホームに入居した。その後、同年一一月頃、横浜市××区に所在する老人ホーム「Q」に転居し、現在まで同施設に入居している。
 (8) 本件保全異議申立事件の審尋期日において、債権者は、債権者が両親と面会することにつき債務者が応じないのであれば、家庭裁判所調査官と両親が面会することで、債務者に成年後見開始審判申立事件に協力することを求める旨の意向を示したが、債務者は、家庭裁判所調査官の調査にも応じるつもりはない旨述べた。
 二 被保全権利の存否について
 債権者は、両親の子であるところ、前記認定事実のとおり、両親はいずれも高齢で要介護状態にあり、アルツハイマー型認知症を患っていることからすると、子が両親の状況を確認し、必要な扶養をするために、面会交流を希望することは当然であって、それが両親の意思に明確に反し両親の平穏な生活を侵害するなど、両親の権利を不当に侵害するものでない限り、債権者は両親に面会をする権利を有するものといえる。
 そして、前記認定事実のほか、債務者提出の証拠及び本件に顕れた一切の事情を考慮しても、債権者が両親と面会することが両親の権利を不当に侵害するような事情は認められないことから、本件被保全権利は一応認められる。
 三 保全の必要性について
 前記認定事実によると、両親が現在入居している施設に入居するに当たり債務者が関与していること、債務者が債権者に両親に入居している施設名を明らかにしないための措置をとったこと、債権者が両親との面会に関連して、家庭裁判所に親族間の紛争調整調停を申し立てる方法をとってもなお、債務者は家庭裁判所調査官に対しても両親の所在を明らかにせず、調停への出頭を拒否したこと、本件審尋期日においても、債務者は、債権者と両親が面会することについて協力しない旨の意思を示したことが認められる。
 これらの事情を総合すると、債務者の意向が両親の入居している施設等の行為に影響し、債権者が現在両親に面会できない状態にあるものといえる。また、債務者の従前からの態度を考慮すると、上記の状況が改善する可能性は乏しいものといえ、今後も、債務者の妨害行為により債権者の面会交流する権利が侵害されるおそれがあるものといえる。
 なお、債務者は、両親の意向を尊重しているだけで、債務者が債権者と両親との面会を妨害している事実はないなどと主張するが、前記のとおり、債務者の行為が、債権者が両親と面会できない状況の作出に影響していることは否定できない。
 以上によると、債権者が両親に面会することにつき、債務者の妨害を予防することが必要であることから、本件保全の必要性も認められる。
 四 結論
 よって、本件仮処分命令申立ては理由があるから、これを認容した原決定を認可することとし、主文のとおり決定する。
  (裁判官 宮澤睦子)横浜地方裁判所 平成30年(モ)第4031号 保全異議申立事件 平成30年7月20日

 



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2020年6月13日 (土)

【学校】 私立中学校の学校長が生徒に対して行った校則違反を理由とする退学処分が裁量の範囲を逸脱した違法なものであるとして、学校法人に対する損害賠償請求が認容された事例

 判例時報No2441号で紹介されたさいたま地裁令和1年6月13日判決です。

 中高一貫校の私立中学校の学校長が、中三の子を退学処分にしたケースですが、裁判所は、処分が重いと判断しました。

 退学処分の理由は、全寮制の中学にライターを持ち込み、寮の自室で、ペットボトルをライターであぶったり、ティッシュペーパーに火を付け、翌日には、スプレー缶のガスに友人と火を付け、さらにその翌日にはスプレー缶のガスに火をつけてコーラー缶をあぶり、床にこげ跡を残し、その翌日も同様のことをしたということです。

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 退学理由だけをみるととても悪い生徒さんのように見えますが、小さな非違行為はあったようですが、愛嬌のある憎めない生徒さんだったようです。

 ただ、寮での危険行為であることに鑑みると、退学ということもあり得ることですが、他方で、ごくごく普通の生徒さんだったということを考えると、退学というのはかわいそうな気もします。

 担任の先生は、責任をもって預かるので厳重注意で校内謹慎という意見も出たようですが、職員会議では少数意見にとどまったようです。

 

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