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2019年7月

2019年7月29日 (月)

【離婚】 判決文を読んで、泣けてきた事案 ( ノД`)シクシク…

 判例タイムズNO1461号で紹介された平成30年12月5日東京高裁判決です。

 判決文を読んで涙なしには読めません。。。。

 

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(高知城)
 事案は次のとおりです。X(夫)、Xの父(介護必要)(障害認定1級)、Y(妻)、長女(H9生まれ)、次女(H15生まれ)の5人で生活していました。仕事の関係で夏季に限定して平成23年6月にXは単身赴任しました。ところが、平成23年7月に、XはYに対して突然離婚話を切り出し、要介護の実父の世話をYにまかせたまま、別居期間が7年経過してしまったという事案です。
 Xの依頼した弁護士は、別居が一定期間継続すれば裁判所は離婚を認めるなどと記載された手紙を送付し、Xは、Yのみならず、Xの実父、子どもたちにも一切会おうとせず、転勤しても異動先を教えなかった。
 Xはこともあろうに、Xの実父の介護のための車も使用不可能にした。
 Yは、Xの実父の世話と子どもたちの養育をしながら、Xが家庭に戻るのをまった。Xの実父も、Xが家庭に戻ることを願い、Xと連絡をとろうとしたが無視された。
 平成24年に、XはYを相手に離婚訴訟を提訴したが、Xは平成19年3月以降別居状態にあった等の虚偽主張を行い、第1審も、第2審も、Xの離婚請求を認めませんでした。
 それ以降も、Xの実父は、Xに連絡をとったものの、弁護士に電話せよというばかりで直接の連絡を拒絶し、Xの実父は、Yや孫たちの将来を考えて、Yと養子縁組を行い、生命保険金の受取人を孫に変更しました。
 YとXの実父は、Xの弁護士に対して、子らの写真や手紙を送付して連絡をとろうとしたが、全て拒絶された。
 Xの年収は約1100万円、他方、Yは、不整脈、膝関節痛等のために、無職で収入がない状態です。
 このような状態で、Xは、再び、離婚訴訟を提訴して、第1審は、別居期間が7年近くあることなどを理由に離婚を認めませんでした。
 第2審は、YやXの実父がYとの話し合いを度々求めているにもかわわらず、弁護士のアドバイスにより、別居を長期間継続すれば、必ず裁判離婚ができると考えて、話し合いを一切拒否しているものと推測されることから、婚姻を継続し難い字雄大な事由はあるとはいえない、また、これまでの経緯から考えて、Xには信義則違反があるとして、離婚の裁判を認めませんでした。
 別居期間7年で、典型的な有責配偶者ではないXの離婚請求を認めなかったという極めて珍しいケースです。
 同居期間中極めて円満だったこと、別居も不和が原因ではなく仕事のためであったこと、介護の必要なXの実父の介護をすべてYにまかせたままにしたこと、Xの実父も子どもたちもXとYとの修復を望んでいること、Yは病気のために無職であることなどが、Xの請求を認めなかった大きな理由でしょう。
 なお、Yは、弁護士に依頼せずに、本人訴訟で対応しております。第2審で、Yの逆転勝訴ですが、最高裁に上告・上告受理をしているようです。
 
 判決文を読んでも、Xが、なぜYと離婚したいのかがよくわかりません。わかれたいのであれば、その理由を誠実に伝えるべきでしょうし、自らの実父の介護を押し付けるべきでもないでしょう。
 また、Xが前の裁判の時に依頼した代理人弁護士のアドバイスも配慮に欠けており、いささかどうかと思える内容です。
 Xの実父の気持ちを考えると、いたたまれない気持ちになります。Yや孫たちに申し訳ない気持ちで亡くなられたのではないでしょうか。
 

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2019年7月28日 (日)

【慰謝料】 夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に対して離婚に伴う慰謝料請求をすることの可否

 判例タイムズNo1461号で紹介された最高裁平成31年2月19日判決です。

 

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(高知城博物館)
 マスコミでも報道された最高裁判決です。
 
 夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対し、当該第三者が、単に不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきき至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。
 不貞慰謝料が消滅時効で消滅しているために、離婚慰謝料を請求したという事案です。
 不貞行為の第三者に対する慰謝料は、原則として、不貞慰謝料のみであり、離婚慰謝料は特段の事情がない限り請求できないということになりました。
 注意をしなければならないのは、不貞慰謝料の金額の算定にあたっては、離婚自体を慰謝料として上乗せすることはできないものの、離婚するにいたった場合、人格的利益の侵害も大きかったと評価sるうことができることからこのような事情を増額要素として考慮することは許されるということになります。
 なお、不貞相手方に対して請求された不貞慰謝料に係る債務と、配偶者が負っていた離婚慰謝料にかかる債務は、不真正連帯債務になると解されていますが、両者は、慰謝料の内容が異なり、そのことを考慮して、損害額を算定することになります。
 
 離婚慰謝料を請求することが原則としてできなくなったという判決であり、不貞慰謝料までが請求できなくなったという判決ではありません。
 この判決がでたことにより、例えば、A・B夫婦が、AとCとの不貞により、2年後に離婚した事案で、BとCとが不貞慰謝料を支払って示談して解決、その後、AがCに対して、再び離婚慰謝料を請求することは難しくなったと思います。慰謝料ですが、従前、不貞慰謝料の方が離婚慰謝料よりも金額的には小さいことから、Cの立場で相談を受けた場合に、もしかして、不貞慰謝料で示談しても、将来、Bから離婚慰謝料を請求されるかもしれないよというようなことを付言していたことがあります。この心配はほとんどなくなることになりそうです。
 とはいえ、AがBに対して離婚慰謝料を支払った後に、AがCに求償してくる可能性までは否定できませんが、離婚慰謝料部分は除くので、かなり負担割合は小さくなるのではないでしょうかね。。。
 このあたりの議論を深めたいので、コメント下さいな _(_^_)_

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2019年7月24日 (水)

【離婚】 婚姻費用の算定にあたり、権利者が我が国の物価水準と比較して格段に異なる他国に居住している場合には、その事情を反映させるのが相当であるとした事例

 判例時報No2403号で紹介された東京高裁平成30年4月19日決定です。

 中国に暮らす妻Xが、日本で暮らす夫Yに対して、婚姻費用の支払いを求めた事案です。

 第1審は、長女Aの引き渡しを巡る経緯、Yが婚姻費用の支払いに消極的な姿勢であることから、物価に関する事情は、算定表の枠内で考慮すべきとして、月6万円と判断しました。

 ところが、東京高裁は、判示の通り示して、月4万7000円に変更しました。 

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 妥当な判断と思えます。

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2019年7月17日 (水)

【相続】 共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡と民法903条1項に規定する「贈与」

 判例時報No2403号で紹介された最高裁平成30年10月19日判決です。

 第1審、第2審とも、相続分の譲渡は遺留分減殺算定の基礎となる財産として加算すべき贈与には当たらず、Xに遺留分の侵害はないとして、Xの請求を棄却しました。

 ところが、最高裁は、共同相続人間でされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、民法903条1項に規定する「贈与」に当たる旨判示して、原審に差し戻しをしました。

 

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 めんどそうな判例がでました。この裁判例は、前提として、一次相続について遺産分割審判が行われ、譲受相続分を反映した具体的相続分どおりに遺産分割がされたケースが前提となっております。
 
 解説にもありますが、実際には遺産分割調停の結果が必ずしも相続分の譲渡によって取得された相続分の割合を反映していない場合もありますが、このような場合には、別途の考慮も必要になつてきますが、この裁判例では指針がでておりません。
 
 補足意見もありません。。。

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2019年7月 3日 (水)

【子ども】 親権・監護権・面会交流事例集

 最近の傾向ですが、非親権者、或いは、非監護権者の親、とりわけ、父親から、子供に対する定期的な面会交流を要求される事案が増えているように感じます。

 

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(大徳寺大仙院)
 新日本法規から、子の利益だけでは解決できない親権・監護権・面会交流事例集が出ましたので、購入しました。
 
 面会交流では、第1判断要素、第2面会交流の工夫、第3面会交流方法・条件の変更、第4面会交流不履行への対応から構成されています。
 面会交流それ自体を単独で受任する場合は余りありません。ほとんどが、離婚調停等と一緒に申立てるケースが多いです。
 ただ、監護親である母親は、対立する父親との面会交流について、気持ちの上から、嫌がる方も少なくありません。
 当職の経験からいえば、面会交流がある程度うまくいくケースは、離婚しても、今度は共通の子どもを持つ親として、関わってもらえることが多いので、子どものためにはよいことだろうとも思います。
 他方で、DV事案、不貞行為事案等、夫婦関係に大きな亀裂が入っている事案は、うまくいかないことが大半であり、ストーカー事案に発展したケースでは、皆無です。
 

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2019年7月 2日 (火)

【離婚】 モラハラ事案 東京地判平成24年1月19日

 当事者の主張にみる婚姻関係の破綻」でとりあげられていた裁判例です。

 夫の独善的かつ自己中心的態度が妻に多大な精神的苦痛を与えたことにより、婚姻関係が破綻したと認められた東京地判平成24年1月19日判決です。

 先行して、離婚が成立しているので、その後に、妻が夫に慰謝料請求をしたという事案です。

 裁判所は、100万円の慰謝料を認めています。

 夫が妻の態度に非があるとして一方的に決めつけ、対話もせずに、妻を実家に帰し、離婚届を送付するなどの自己中心的な態度をとり、婚姻が破綻した大きな原因は夫の自己中心的な態度によるとしております。

 記載されている内容からすれば、夫は、修復を図る妻やその親族による説得にも一切応じなかったようです。

 

 性格の不一致か、モラハラかというのは、非常に微妙な判断を求められます。

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2019年7月 1日 (月)

【離婚】 モラハラ事案 大阪高判平成21年5月26日

 「当事者の主張にみる婚姻関係の破綻」(新日本法規)です。編著は、元高裁判事の弁護士の方です。

 

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 高齢になり生活力を失った夫(80才)を、妻が軽んずるようになり、配慮を欠いた行為をするようになったことから、婚姻関係の破綻を認めた事案です(大阪高判平成21年5月26日)。
 
 朝食や昼食の準備をしないこと、先妻の位牌を無断で親戚に送り付けたこと、夫の人生の思い出のつまったアルバムの多くを焼却しあこと、夫が作成した過去帳の処分を寺院に依頼したことで、別居し、破綻したと認定されました。
 別居期間は1年位です。
 ところが、原審の大阪家裁は、別居期間は1年ということで、離婚請求が棄却されています。
 モラハラ事案は、ネットなのでは、簡単に、破綻が認められたり、慰謝料が認められたりするようなHPがありますが、なかなかハードルは高いのです。

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