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2018年10月 7日 (日)

【離婚】 モラスハラスメントのご相談事案!?

 「家庭の法と裁判」No16号が送られてきました。DV事件の実情として、特集記事がくまれていました。

 その中で、DV被害者の代理人から見た実務の現状と課題については、参考になります。

 DV防止法でいう「暴力」ですが、DV防止法1条の一般的な「暴力」と、保護命令の要件としての同法10条1項の「暴力」とは、異なる用いられ方がされているので注意が必要です。

 1条にいう「配偶者からの暴力」は、身体に対する暴力のみならず、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれておりますが、保護命令の発令の要件での暴力は、身体に対する暴力に限定されていますので、注意が必要です。

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 最近、身体的な暴力事案のみではなく、精神的な暴力、つまり、人格を否定するような暴言を吐くこと、何を言っても無視をすること、交友関係を細かく監視すること等で、夫婦関係が悪くなるケースが少なくありません。いわゆるモラルハラスメント事案です。

 しかしながら、「DV被害者の代理人から見た実務の現状と課題」にて打越さく良弁護士は、モラハラ事案は認定が困難な事案が少なくないと説明されています。

 例えば、身体的な暴力を振るわれた被害者からの離婚請求を認めた事案は少なくありません。

 しかしながら、打越弁護士は、身体的な暴力を伴わないモラハラ事案については、次のように説明されます(同書P52)。

 「DV防止法(前文、1条)は、精神的暴力もDVであると認めた。

 しかし、精神的暴力のみの案件では、相当長期間の別居などの他の事由を重ねて主張しなければ、離婚請求が認容されにくい。

 東京高裁平成13年1月18日は、「第1審被告は相応の社会的経験を有し、社会の良識に従った対応が期待できるものと思われる。」等として、夫からの精神的暴力を受けてきたと主張した妻の請求を斥けたが、裁判におけるモラルハラスメントの認定の困難さを浮き彫りにするものとの指摘がある。」

 田舎弁護士の印象でも、モラハラ事案は、性格の不一致と評価されることが多く、また、恐怖を感じるほどの怒鳴り声等についても録音等がなければ、立証が困難なことが多いように思われます。

 そもそも、身体的な暴力により夫婦関係が破綻した場合でも、不貞行為の場合と比べて、慰謝料の金額は大きくならないという印象がありましたが、この文献でも、「主な慰謝料事由が不貞である場合の平均認容額が223万円に対して、暴力である場合の平均認容額は123万円にとどまる。」と紹介されています。

 身体的な暴力が伴わないDVの場合は、認定の困難さを感じます。

 また、DVを受けている側は、子どもの面会交流は回避したいと考える方がほとんどですが、裁判所の実務では、「DVがあった場合でも一概に面会交流を禁止・制限すべき事由にあたるとはいえず、第三者機関が関与することにより、面会交流を実現する可能性が検討されるべきとされる。」(同書P54)とされています。

 モラハラ事案につきネットで検索してそれを裁判所でも当然受け入れられるとの誤解で、ご相談にこられる方がおられますが、必ずしもそうではない場合も少なくないので、注意が必要です。

 DV事案については、「家庭の法と裁判」等の家事事件・少年事件の専門誌を定期購読して勉強されている弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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