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2018年10月13日 (土)

【離婚】 人事訴訟の審理の実情⑤ 判例タイムズ

 離婚弁護士必携の「人事訴訟の審理と実情」です。

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第7 争点整理手続

5 附帯処分等の争点整理

 「東京家裁においては、財産分与の申立てがあった事案においては、まず、

 ①できる限り早期(通常は、双方当事者が出頭する最初の期日)に分与対象財産確定の基準時を確認し、

 ②原告・被告双方に対し、基準時における自己名義の財産(共有財産・特有財産を問わない)の開示(書証として提出させる)とこれに対応する暫定的な婚姻関係財産一覧表の作成・提出を求めている。

 その後、

 ③適宜、相手方に対する求釈明(追加の財産開示要求についてはある程度具体的な根拠を示すべきである)を経て、

 ④相当の根拠があるにもかかわらず相手方が任意開示に応じない場合や、基準日が相当古いなどの理由で任意の手段では自己名義の残高証明がとれないような場合などには、必要性・対象等を精査した上で調査嘱託の採用等を検討する(一般に、禁輸機関の全支店照会や長期間の履歴照会といった探索的な調査嘱託は採用していない)。

 ⑤基準日残高中に特有財産部分が含まれている旨の主張がされた場合は、争いがある限り、主張する側に立証を求める。

 ⑥全体的な寄与分割合は2分の1ルールを原則とし、これと異なる主張をする側に具体的な事実の立証を求める。

 ⑦事案によっては、弁論の全趣旨や一切の事情による最終的な調整を検討するという方針で臨んでいる。

 ⑧以上の過程を通じ、随時、当事者間で婚姻関係財産一覧表データのやりとりをしてもらい、変更があるたびに最新版の一覧表を提出してもらい、期日の都度、争点整理メモとして活用、最終版に近づいた時点でデータとして裁判所に提出してもらっている。

 このような作業をほぼ全件で行うことにより、争点を可視化し、できる限り、審理の漂流を防いでいる。」(P28)

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 「なお、前記のとおり、財産分与に関する処分については、十分な理論的な検討がないままに、種々の金銭給付や債務の分担を求めるような例も見られるところである。しかし、あくまで、分与されるべきは、別居時において存在する積極財産であり、それがない場合には、清算すべき対象がないとするのが原則である。

 婚姻中に給与が取得されているから、それが貯蓄されているはずであるなどとして、その2分の1相当額の支払を求めるなどという主張が散見されるが、このような場合において、資産の存在が立証されることはほとんどないといってよい。」(P28)

 「過去の婚姻費用の分担の調整も財産分与の中で考慮することができるが、常に全額が認められるわけではない。考慮するとしても別居後のものであって、基本的に別居前の婚姻中の生活費の分担の調整までも行うものではないことに留意すべきである。」(P28)

 「なお、標準的算定方式に代わる新たな提言として、日弁連の養育費・婚姻費用の新しい算定方式・算定表に関する提言があるが、公租公課の実額算定の許容、特別経費の不控除、生活費指数・年齢区分の細分化といった提言内容の相当性については、標準的算定方式の前記利点を減殺しないか、義務者側からの納得感などに疑問がある。当面は、標準的算定方式をベースにしつつ、事案に応じて特別の事情を個別具体的に考慮して適切妥当な結論を得る方向性で考えることが相当であろう」(P29)


 

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