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2015年2月28日 (土)

【介護施設】 Y障害者支援施設からの57歳男子の失踪は、自らの意思で断りなく離脱から、Y施設の過失を否認した 東京高裁平成26年3月20日判決

 自保ジャーナルNo1936号で紹介された東京地裁平成26年3月20日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 Y障害者支援施設入所の57歳男子Aが施設から失踪して、その妻Xが慰謝料等を請求する事案につき、 

 Aは、「転倒の危険性や服薬を怠った際にAの障害の程度に応じたその身に生じ得る危険があり、Yはこの危険性を予見することが可能であった旨、仮にAの失踪についての予見可能性が必要であるとしても、Yは、Xが職員に対して話した内容からAの失踪を予見し得た旨主張する。

 しかし、Aは、自らの意思で、自動車を手配するなどして職員に無断で本件施設を離脱し、失踪したものと認められるのであるから、Yに過失があるとするためには、上記のような態様による失踪の予見可能性が問題となることは原判決説示のとおりであるし、

 転倒ないし薬効の消滅を前提とする危険についての予見可能性をもって上記態様による失踪を防止すべき注意義務を根拠付けることはできない。

 また、Xは、職員のBに対し、Aが他の施設を利用していた際に無断で外出し、図書館で倒れたことなどを話したと主張するが、

 これを裏付ける客観的な証拠はなく、むしろ、Xは、職員に対してAを歩かせることを強く希望していたものであり、そのようなXがあえて上記の希望を実現することによって阻害要素となる可能性のある過去の無断外出時の転倒事故に言及したというのは不自然であるばかりでなく、職員が作成した生活支援計画書においても、そのような具体的経験自体の記載やこれを前提としたとみられる記載はないことなどの事情に鑑みても、X主張のような説明があったと認めることができないことは、原判決の説示するとおりである等、

 法律上、指定療養介護事業者は、指定療養介護の提供に当たっては、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむをえない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならないとされているのであって、この観点に鑑みても、本件事故当時の状況において、YにX主張のような義務があったものと認めることはできない

 として、Xの請求を棄却しました。

 施設入所の方が、車を手配して、行方不明になってしまったという事案です。

 原告は、「万が一、何があっても施設の責任だと思わないので、歩けるときに歩かせて欲しい」とYに述べていたようです。

 

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