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2015年1月 5日 (月)

【成年後見】 「成年後見人の権限と限界」(赤沼康弘弁護士)

 冬休みの間に、判例タイムズNo1406で紹介された「成年後見人の職務権限に関する研究」を一読しました。

 まず、家事事案での論文が多い弁護士の赤沼康弘先生の「成年後見人の権限と限界」という論文です。

 まず、成年後見人のよるべき職務基準の探索を論じております。つまり、「善管注意義務及び意思の尊重と身上配慮の義務の下で、成年後見人は、財産に関する行為に関し、どのような職務遂行を求められるのか、限界的事例を参考にしながら、基準的な考え方を見い出し」ています。

 赤沼弁護士は、成年後見人の行為義務の内容としては、以下のとおり整理されています。

 第1に本人の明確な意思や意向にしたがった場合には、原則として、善管注意義務違反は生じないと述べています。

 第2に本人の意思や意向が明確でない場合には、判断の前提となる事実を調査し、本人の最善の利益という観点から利害を比較考量して判断し、実行したことが、その行為時において、当該成年後見人の職業や社会的地位等からみて合理的であれば、善管注意義務を尽くしたことになると述べています。あわせて、この合理性の判断においては、経済的不利益等の結果にとらわれることなく、判断や行為のプロセスを重視すべきとされています。

 問題は、本人の意思と最善の利益とが合致しない場合の対応について、さらにケースをわけて検討しています。

 その上で、具体的事例に現れた成年後見人の善管注意義務についての裁判例をいくつか紹介されています。

 事例としては、客観的価格より廉価で不動産を売買をした場合、財産の贈与的行為、本人の関係者に対する貸付行為についての裁判例を紹介されています。

 成年後見人を引き受けて危惧することの1つとしては、やはりご本人様が亡くなった場合に、ご本人様の相続人から、クレームを受けることです。東京地裁平成12年11月30日判決においても、裁判所は、そのような関係者の行動について、「原告らの本訴提起及び追行による行動は、模索的に証拠資料を集めて・・・後見人職務代行者ないし後見人の事務にあたった被告を糾弾するためにする訴訟と受け止めざるを得ない」として、強い批判を加えています。

 さりとて、それを怖れるがために、本人の意向を尊重しない形での後見業務というのも、本人のための後見業務であることに鑑みると、いかがなものかと思われます。

 より充実した成年後見業務を行うためには、赤沼先生が述べられているように、家裁にはその点を意識して成年後見人の職務を見通し支援していただけるよう求められているものと思われます。 

 

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コメント

赤沼弁護士から贈呈本が届いた、鬼丸最高裁判事殿が在官中に解決して頂きたいのですが。
http://6223.teacup.com/5547/bbs/2609

投稿: 遂犯無罪 | 2016年7月31日 (日) 午前 04時35分

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